2016-01-01から1年間の記事一覧

神道天行居東京支部発会式で講演した星野輝興

『石城島』は神道天行居東京支部の機関誌。しきしま、と訓む。昭和3年11月発行の創刊号は惟神同志会の名義で、のちに支部発行となった。編輯兼発行人は森田良雄。 4年4月3日の東京支部発会式とその後の例会で星野輝興が講演を行ひ、4年6月発行の通巻…

大成会の有松英義会長と会員の顔ぶれ

『大成会会報』は大正15年2月11日に第1号が発行された。執筆者に千家鉄麿、沢田五郎、井箆節三、三井甲之らもゐる。月刊で、編輯兼発行人も沢田。大成会は「普通選挙は、億兆心を一にして、天壌無窮の皇運を扶翼し奉り、益々国体の精華を発揚せんこと…

高橋信義「愛国心を持っているなら青旗のもとへ帰ってこい」

『写真集 國士』は昭和59年12月20日発行。企画制作小森征夫、編集新野哲也。政経公論社発行。定価参萬円とある。皇室とか政治経済、同和関係の分厚い本はよく法人などに売りつけるためにつくられ、内容も寄せ集めで価値もあまりない。この本は定価は高…

明治天皇御尊像100基建立を計画した美平晴道

『全貌』昭和44年11月号は読める記事が多い。グラビアは「自民党の安保PR作戦」で、ホステスに向けた安保説明会。浪越徳次郎や辻寛一が演壇に立って居る。特集は「強くなった警視庁の首都防衛計画」。「暴力学生を一網打尽にするトラの巻」として、機…

岡野均と驚きももの木追悼記

ピコ太郎が記者会見で、ブレイクの感想について語った「驚き桃の木20世紀でございます」。これは約20年前に放送されたドキュメンタリー番組、「驚きももの木20世紀」といふ番組名からきたものと思はれる。6年半にわたり20世紀の出来事や人物を取り…

高田豊樹「所謂散るべき時に散るといふことが必要である」

野依秀市が唱へた米本土空襲。野依はそのため、空襲専用飛行機献納資金募集を企てた。『実業之世界』昭和18年7月号では諸家の絶賛として、永井柳太郎、藤山愛一郎、和田亀治らが賛同の声を寄せてゐる。頭山翁は「金を持たん奴も、持つた奴も、今こそ出し…

菅野力夫の講演を聞いた奥村喜和男

『奥村君の手紙と日記』の奥村君とは、情報局次長も務めた奥村喜和男のこと。当時の学生の様子や勉強ぶりがわかる。 日記は豊津中学校時代のもの。七月六日は首席をとった日。 (略)一番奥村喜和男とあり。嗚呼!不肖自分が学生の理想、首席を捷得たるなり。…

生いもかじった河合徳三郎

『新潟評論』は新潟評論社発行。発行者は玉井理勝。1巻4号は昭和2年8月発行。この号に河合徳三郎の紹介記事が載ってゐる。河合の各種救済事業により新潟県民が助かってゐて、玉井はその「仁侠友愛」に感動したとある。大和民労会には触れられてゐるが、…

新渡戸稲造「忘れて仕舞つてこそ本当に本を読んだ値打があるのだ」

続きと補足。悪書を読むのは、本を読まないことよりも悪いと論じた満尾君亮。しかし満尾と違ふ読書論も『心之種』には載ってゐる。 水戸運輸事務所庶務係長の高梨茂吉が「読書の興味、選択法、読書法」と題して、長文を寄せてゐる。高梨は読書を熱く論じる。…

全人類に田中智学の著書を薦める石黒寅吉横浜駅長

今年は彼岸が過ぎても暫く暑かったけれども、やうやく秋めいてきた。本についての催事の案内も出来てきた。 『心之糧 鉄道人と読書』(東京鉄道局、昭和16年7月15日発行)は『教養資料』の第百輯記念号。読書特集で、208頁もある。鉄道関係者の読書に…

志賀直哉から読物の執筆を勧められた三橋一夫

『酔っぱらい健康法』(昭和50年1月、學藝書林)は三橋一夫の著。手元のものは吉田健一宛ての献呈本。吉田健一といへば吉田茂の息子の英文学者。昭和49年に『酒肴酒』を番町書房から出してゐる。裏表紙に吉行淳之助による紹介文が載ってゐる。これによれ…

大井広介に日本刀で脅された山田多賀市

今秋に人文書館から山田多賀市の評伝が出る筈だが、どう描かれるだらうか。 『雑草』(山田多賀市、東邦出版社、昭和46年2月)は全線文学賞受賞作品。帯の惹句を借りると「異色作家の自伝的小説 仁義をきって渡り歩く瓦職人、飯場の土方…雑草のように生きぬ…

ニイハウ島事件の西開地重徳を追った東山半之助

今年の夏はオリンピックがあったので、戦争ものの報道が少なかった。 『ざっくばらん この道三十年』(東山半之助著、日本教文社)は昭和40年7月24日初版。手元のものは8版で昭和48年2月10日発行。 生長の家を信仰する著者の回顧録。明治24年香川…

奥崎謙三「朝日新聞は最も保守反動」

いつまで続くのか角栄ブーム。 『田中角栄を殺すために記す 人類を啓蒙する手段として』(サン書店発行・有文社発売、昭和56年8月)は奥崎謙三の著。 表紙の肩書?は「殺人・暴行・猥褻図画頒布 前科三犯 神軍平等兵」。 昭和天皇をパチンコ玉で狙ったこと…

伊沢甲子麿の『日の丸坊ちゃん』は本家以上

夏休みに『坊ちゃん』を読む人も多いだらう。新潮文庫では156刷。 4月刊の『「坊ちゃん」の通信簿―明治の学校・現代の学校』(村木晃著、大修館書店)は『坊ちゃん』を題材にして、当時や現在の教育事情を描いたもの。教育制度や免許、学校行事など、煩雑…

明治教の衛藤明光管長は大発明家?

時事通信社の『読物時事』は『太平』の改題後継誌。昭和22年5月号・3巻4号には橘外男、丸木砂土、水谷準、井上友一郎、室生犀星、谷崎潤一郎らが並ぶ。式場隆三郎「入れ歯綺譚」は見開きの分量ながら筋立てもしっかりしてゐる。「帝京タイムズという新…

大川艙太郎「蜷川新は不忠不義の大国賊」

続き。宇治川天保は「刷けついで」で、自分たちへの批判を取り上げたり反論したりしてゐるが、この筆者はとても口が悪い。『国体科学』は『原理日本』と交換雑誌だが、都合の悪い記事が載ってゐると向かふが送ってこないのだといふ。 蓑田といふのは、実に天…

松島道人「末世の神主は神を売つて居る」

西宮・国体科学連盟本部発行の『国体科学』昭和5年3月号は、第五十号記念倍大号。里見岸雄は連盟の統監と称してゐる。 「一神職より神職界へ」は、里見から寄稿を求められた神職、松島道人による一文。中身も分量もあり、単なる読者投稿と異なる。内容とし…

東亜相互企業の慰安旅行に参加した田辺茂一

『銀座ネオン街これだけ暴けば殺される』(粋川太郎、昭和60年6月、政界往来社)の表紙には「各界名士実名入り」「銀座夜の無頼帳控え」といふ文字も躍る。 1章「銀座を代表する�女狐�ママ列伝」から8章「匿名座談会 銀座夜のスキャンダル全公開」まで、…

2500年後に旅行した小田俊与の友人

『詩集 覚えはない』(小田俊与著、太陽出版社、昭和28年3月)には、原水爆禁止を訴へる詩「覚えはない」がある。 貴方は、原爆を落すことの許可をいつ神から授かつたとおつしやるんですか? 貴方は、水爆で幾千万、幾億の生命を殺戮する権利を いつ誰から…

中野家成「祖先の罪穢まで祓ひ清めしむる」

もうすぐ今年も半分過ぎる。 『みそぎ』は國學院大學皇国禊会の機関誌。第4号は表紙では昭和10年4月10日、奥付では4月15日発行。会長は筧克彦で副会長は中野家成。全43ページ中、和歌も散文も載せてゐて、筧は前年葉山の海で禊した際の和歌などを…

中昭公司を興した岡崎善平

『現代土佐人物萬華鏡』(田村真一、叢文社、昭和47年12月)には、土佐出身の人物74人が紹介されてゐる。議員から官僚、財界人まで幅広く、同郷や同窓、家族関係がわかる。当人だけでなく、しばしば関係する人物に脱線する。 中でも異彩を放ってゐるのが…

修学旅行は伊勢から広島へ

オバマが伊勢から広島に行くといふので色々大変だった。 『在日朝鮮人に投影する日本』(大阪朝鮮人社会・教育研究所編、法律文化社、昭和62年)の内容は、書名だけでは分からない。伊勢神宮が修学旅行先になってゐることを問題視したシンポジウムと4つの座…

竜虎相撃つ‐佐々木武行と闘った佐々木四郎

古書会館からもほど近い病院。創立者、佐々木東洋の胸像がある。その孫が佐々木四郎。北京から上海に渡り、得意の柔道で数々の難敵たちと闘った。岩田富美夫の跡目を継ぎ、大化会会長にもなった。 『武士(さむらい)・佐々木四郎』は佐々木四郎の数奇な半生…

金子雪斎を問責した早川専一

『久遠の命』は昭和10年5月25日に41歳で亡くなった早川専一の追想録。翌年同月同日に尚子夫人の名義で出された非売品。 早川は明治28年5月、熊本県八代郡生まれ。旧姓獄村。拓殖大学卒業後、大連にあった金子雪斎の振東学舎で学んだ。遼東新報社を…

暁烏敏「大砲でお勅語を打ち込まう」

『臣民道を行く』(京都一生堂書店、昭和17年8月1日発行)は暁烏敏(あけがらす・はや)の著作の中でも特に戦時色が強い。函は簡素。 暁烏は16年11月から12月にかけて連続講演を行ふ。それを記録したのがこの本で、途中に日米開戦を挟む。書名も講演を…

菊池義郎の八丈書房は買はなくてもよい

『黒潮に吼える男』は上野登史郎著、三彩社、昭和47年8月発行。書名だけではわからないが、衆議院議員、菊池義郎をモデルにした小説。中では菊池太郎になってゐる。伊馬春部が解説を書いてゐる。 表紙や紙が厚くて会話文も多く、中学生でも読めさう。波瀾…

傘と北村兼子とKさんの商売

暖かったり寒かったり晴れたり雨が降ったりしてゐる。 『民衆の法律』は大阪市の民衆の法律社発行。手元のものは大正14年8月号。新聞記事を法律的に解説した記事が面白い。全国の主要新聞全部に目を通し、「最も新しい、最も面白い、最も実益のあるものを…

丸山作楽の土曜日曜休暇論

今年は神武天皇が崩御してから二千六百年とされ、崩御日とされる4月3日(日曜日)に、橿原神宮で大祭が行はれる。 『随在天神 カムナガラ』は月2回、惟神学会から刊行。156号は明治23年7月12日土曜日発行。表紙には明治二十三年、紀元二千五百五十…

服部宗明「実にお気の毒に堪へぬは祖先の霊である」

『週刊現代』のコラムで、明治時代の教科書に秋水名義の書き込みがあり、幸徳秋水ではないかと言ってゐる。秋水は珍しくない号なのでどうだらうか。 書き込みといへば『祖霊の居ます処』(服部宗明著、皇国同志会発行、昭和18年7月)。 四月八日付の自序に…