2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧
『肉の砂漠』は清水正二郎著、日本週報社刊、昭和33年4月発行。手元のものは一カ月後に6版を数へてゐる。後で分かったが、清水は作家、胡桃沢耕史の本名。戦中に中央アジアを遍歴した実体験を記録したもので、筆の運び方も流石だ。 序文を海音寺潮五郎が…
平凡社の下中弥三郎が大陸に作った新民印書館。そこで働いてゐた山中林之助の協力により、『神兵隊事件の全貌』(田崎文蔵著、新民印書館、昭和19年10月30日発行)が発刊された。定価12円とあるが、売れ行きは悪くなかったやうだ。 「序に代へて」に山…
森三十郎の『憂憤録』は昭和49年5月、福岡の綜合国家学研究所発行。587頁もある。 同書略歴によれば森三十郎は熊本五高、九州帝大を経て官途ののち福岡大学法学部長を務めた。担当は憲法・行政法。のち名誉教授。ところが森は改憲よりも徹底した廃憲論…
みたままつりの露店が中止と発表されたが、さういふ話は昔からあった。 『尾津随筆 沙婆の風』は昭和23年12月、喜久商事出版部発行。表記は「娑婆」ではなく「沙婆」。新宿を地盤にして露天商を仕切ってゐた尾津喜之助の随筆。 自序がフルってゐる。 私…