2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

藤沼庄平警視総監を不敬罪で告訴した角田清彦

この前出た平野小剣の伝記には、しっかりと国家主義時代のことも描写されてゐた。其の中にも名前のあった角田清彦。何をした人なのか摑み所がないが、熊沢天皇関連の不敬事件でも重要な立ち回りをしてゐた。 吉田長蔵「十六菊花紋章をめぐる不敬事件の真相」…

自力で失明の危機を克服した大川周明

許斐氏利の伝記には、長勇の七回忌に大川周明がやってきたやうに書いてあるが、それは不可能だった。大川は失明の危機に瀕してゐたから。緑内障が悪化して、不治の病だったので、病院通ひもやめて、自宅で病魔と闘った。十三回忌には出席した。 『不二』の昭…

高場乱「よし今日は乳癌について学ぼう」

高場乱が漫画になってゐるのでみてみた。『まんがグリム童話』(9月号、ぶんか社)の特集は「歴史を血に染めた魔性の女傑たち」。表紙には載ってゐないが、中身を見たらちゃんとあった。「高場乱〜革命を支えた女傑〜」(川崎三枝子)。1頁目の惹句は高場の顔に…

ムッソリーニと三浦周行の通訳をしたカルデリーニ女史

『努力』(『日本魂』の一時改題)の大正12年8月号(8巻8号)に、史学家の三浦周行が一文を寄せてゐる。題して「伊太利国粋党の本領‐首領ムツソリーニ氏との会見記」。 三浦は前年10月、ベスビオ山の麓で「丈低き一人の同胞」即ち下位春吉の出迎へを受け…

「ブースを懲らすべし」「寧ろ殺して了ふべし」

明治40年5月8日、神田錦町の錦輝館でブース反対演説会が開催された。10日付の読売新聞によれば、立錐の余地もない盛況であった。滑稽な会合でもあったといふ。時刻は「一昨夜の午後一時」とあって、夜か昼か判然としない。 宮井鐘次郎(雑誌「神風」とかの主…

三上卓「奥山忠男君を知ってゐますか?」

『岩淵辰雄追想録』(昭和56年10月発行、非売品)を見てゐたら、五・一五事件の三上卓の名前があったので読み進む。廣西元信が「生涯忘れ得ぬ一瞬」と題して書いたものの中から。 昭和20年6月初旬、廣西が岩淵宅を訪問すると先客がゐたので、隣の応接室で待っ…

昭和天皇に称讃された下位春吉

『日本魂』の大正10年8月号を読んでゐたら、「東宮殿下御消息」が載ってゐた。当時皇太子だった昭和天皇が御渡欧した様子が報道されてゐる。それぞれ数行の「羅馬市民の大歓迎」(七月十六日電通社 羅馬発)と「御帰航の途に就かせらる」(七月十八日朝日新聞 …