2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

辰野隆を心の拠り所にした越田辰次郎

『藝林』は芸林社発行、昭和39年6月発行号は第31号。2月28日に亡くなった仏文学者、辰野隆の追悼号。歯科医の越田辰次郎が辰野の思ひ出をつづってゐる。 初めは辰野家の女中、おさくさんが出っ歯の治療にやってきた。それから夫人や辰野本人も来院し…

前田久吉「どちらが本家か分からなくなるものじゃ」

『新聞裏街道をゆく』は船津重人、新聞展望社発行、平成21年3月発行。定価6000円。『新聞展望』の昭和27年4月から29年12月発行分の中から、記事を抜粋したもの。解説や注釈などはなし。 新聞の拡張や経営に関する業界記事が多いが、興味深いも…

松井翠声「この雑誌は正に反動である」

『旅の装い』は交通道徳協会発行。第2号は昭和33年7月発行。ちょっと変はった名前だが、旅行や交通機関の記事や随筆を載せる。ファッション雑誌ではない。 漫談家の松井翠声が「旅に道徳するのは反動である」を書いてゐる。本文では“反動”表記。松井は発…

鼻が利かない煙山萩子を描いた村山鳥逕

『乾胡蝶』は村山鳥逕著、祐文社、明治40年7月発行。画は橋本邦助。村山は尾崎紅葉門下生らと交友があった小説家、牧師。この本には宗教的な内容はない。書名からはわからないが、収録された8編の小説には必ず夫婦の会話が出てくる。いろいろな夫婦が登…