2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

川上親晴警視総監「寧ろ悪の極に達すべく努むる覚悟なり」

『大国民』第54号(大正二年一月号)は、犬養毅や吉植庄一郎らの政論、即位式など硬派の記事が多い。発行兼編輯人は今井忠雄。諒闇欠礼の名刺広告には、大きく村松恒一郎、その後に今井、石崎健雄、江口村太、高橋秀臣、高畠實、中川傳蔵、森山波三、須藤光輝(…

文壇の面汚し‐花見達二の深沢七郎批判

評論家、花見達二『日本は侵略されないか』(新紀元社、昭和37年5月15日発行)に深沢七郎の風流無譚批判。 深沢作品のようなものは最下級の作品ですらない。キ辯に富んだ辯護弁明がおこなわれても、皇室人に対して脅迫をあたえるような醜悪な意図がアリアリと…

ブース将軍「我救世軍は諸子に先んじて北極に至らん」

『活動之日本』(明治40年6月号)は実業系の雑誌だけれども、身近な話題もあって読みやすい。編輯者は宮田暢。丘浅次郎「著述と出版」(p8〜11)や吉川潤二郎「観察と読書」(p42〜p43)、小崎弘道「煩悶除却法」(p39〜p41)など良いことを言ってゐるなあ。 で…

「日本帝国を耶蘇基督に捧ぐ」‐憤慨する折口信夫

『鶴岡』(昭和18年9月15日発行、第十五号)は鶴岡八幡宮社務所発行。約60頁で、月刊とは書いてない。不定期か季刊か。3月1日に社務所で開かれた座談会「思想維新について」が載ってゐる。参加者は國學院大學教授折口信夫、日蓮宗善行院住職高佐貫長、みくに会…

検閲される折口信夫

『興亜』昭和17年9月号読む。7月13日に晩翠軒で開催された「興亜宗教座談会」が載ってゐる。出席者は常盤大定・折口信夫・笠間杲雄・長井真琴・宇野円空・山本忠興・木村日紀・中保與作。主催者側として大日本興亜同盟の企画局長尾崎敬義・企画部長匝瑳胤次…

蟹は甲羅に似せた穴を掘る‐頭山翁と朴春琴

続き。 これは昭和五、六年頃の頃であつたかと思ふ、朴春琴君が日本勧業銀行から担保流れの大邸宅を買い込んだ。芝高輪南町の高台、北白川宮家の板塀を隔てゝ筋向いの素晴らしい建築美、なんでももとは天下の糸平とかゞ建てた家だということだつた。 移転祝…

「日鮮融和の為めなれば」‐頭山翁と川島芳子

今日我国では韓国の人達のことが兎角問題にされているが、頭山翁は古くから日鮮融和を強調され、実行されていた。それは昭和六、七年の頃であつたと記憶する。東京京橋の角に銀座新興株式会社というのがあり、銀座赤玉や、グランド銀座等当時の豪華なカフエ…

井上頼圀「だれがやったことになろうといいじゃないかね」

『広池博士の四人の師(小川含章 井上頼圀 佐藤誠実 穂積陳重)』(尾崎秀人著、広池学園事業部発行)読了。 広池千九郎との繋がりは意外に少なく、各人の伝記として成立してゐる。350頁以上あるけれども、難しい言葉もなく平易な文章なので、中高生でも読めると…

山本悌二郎を推薦した小澤打魚

『木堂雑誌』昭和10年四月号(第12巻第四号)を読んでゐたら、小澤打魚を見つけた。菜花野人こと山口四郎の記事「独居雑筆」より。菜花野人は『明徳論壇』にも寄稿してゐる。 山本悌二郎氏が、政治家として今日の大成を見るに至つたのは、氏が独逸に留学した点…

悪相の内田良平

アフタヌーンの安彦良和の新連載。内田良平が出てくるけれども、悪相に描かれてゐてうーんと唸る。実際の写真の方が恩威兼備の風格がある。 好太王碑文も出てくるけれども、こちらも日本人が改竄したかのやうな描写。改竄説は否定されたと思ふんだけれども。…

名前の由来‐武田信玄と鹿子木員信

『星明』(戸定会報第十五号、赤星先生追悼号)』(千葉高等園芸学校戸定会編,昭和10年6月30日発行)は、赤星朝暉(あかほしともてる)千葉県立園芸専門学校長の追悼録。 赤星の母方の叔父の辻敬之は書籍出版業の普及舎を経営してゐた。教科書を一手に販売し…