中野家成「祖先の罪穢まで祓ひ清めしむる」

 もうすぐ今年も半分過ぎる。
 『みそぎ』は國學院大學皇国禊会の機関誌。第4号は表紙では昭和10年4月10日、奥付では4月15日発行。会長は筧克彦で副会長は中野家成。全43ページ中、和歌も散文も載せてゐて、筧は前年葉山の海で禊した際の和歌などを寄せる。「北風の寒きに向ひ波を分け浜辺もとめて泳ぎ泳ぎぬ」と、9月下旬の海で泳いでゐて、頗る健康さう。「天地の大き湯ぶねにただひとり富士を仰ぎて禊ぐたそかれ」も「大き湯ぶね」が気宇壮大でよい。中野の母の逝去時にも歌を詠んでゐる。
 同会は10年1月に創立5周年を迎へた。実務は中野が担当してゐたやうで、「禊の世界的大飛躍」では葉山、八丈島三峯神社、福井の陣が岡、鳥取の大神山、霧島、安房神社大山祇神社などで実修してきたことを報告。

神ながらに高天原より神界、神界より皇族高天原、これより、皇族神界へと昇り行き、其守護神を充分に発揮し、最高の神 天照日大御神 天照皇大御神 天皇陛下三位一体の坐す神界第一界を拝する得、(略)祖孫一貫の霊的鉄道を全通せしめ 祖先と共に神界に昇天霊達して自己のみならず、過去の祖先の罪穢まで祓ひ清めしむるを得るの神法を神授せられし

 と神学を説く。大祓詞を奏上すると階梯を経て、太陽神としての天照大御神・皇祖神としての天照大御神天皇陛下の三位一体にたどり着く。祖先と一貫する霊的鉄道も通ふのだといふ。
 中野は「霧島の高天原に禊して我も神代の人となりけり」「禊してたのしくなれるこの心君と親とにさゝけまつらむ」と禊中心の暮らし。
同志13人と安房神社に行く列車の中でも、「口角泡を飛ばして禊の効験百パーセントを説き居られたりし中野先生」と描かれてゐる。この筆記では「禊の精神は実に不言実行の妙味を以て最となす」といひながら、

神ながらなる我は我を我とすると同時に他を他として生かす我なり。我一人利するに止まらずして世に貢献ずんば措かざるものなり。あゝ禊会の抱負寔に崇高、その使命実に重大なり。何となれば禊は実にかゝる神ながらなる我の自覚をその第一歩とするものなればなり。

と解説。編集後記にも

天皇機欄[関]論者の頭足分るゝ眼前に在り、いづくんぞ区々たる議論を俟たんや。神のみそぎは殺すことと生かすことゝを同時に行ふものなればなり。絶対の否定に非ず、否定を含める肯定なればなり。

とある。









































































































・夏越ごはんってかきあげ丼ぢゃないか。