佐々木安五郎「西洋の学問が新しいと云ふが、こっちの方が余程新しい」

続き。漢学振興の議論では、佐々木安五郎(号は照山)も発言してゐる。大正10年3月の衆議院での審議。謎めいたドイツ人の行動から話を始める。 欧羅巴戦争が半ばなるときに、亜米利加を経て独逸に帰る独逸人があった、亜米利加人に託するに二重底の「トラン…

佐久間啓荘「『幼学綱要』は古本屋で販売すべき書物ではない」

読書の秋だから読書について。 『大東文化學院創立過程基本史料』は尾花清編著。大東文化大学人文科学研究所、平成17年4月発行。大東文化大学の設立に関はる史料を集めたもの。カタカナ交じりの速記録が多くてとっつきにくい所もあるが、学問の意義や読書…

『私の昭和史』の津久井龍雄の直感

『私の昭和史』は津久井龍雄著、東京創元社、昭和33年4月発行。平易な文章で奥行きのあることを語り、現代でも読まれる価値がある。分量も多くなく、復刊や文庫化の対象にふさはしい。内田百閒の随筆を愛読し、色紙には「言簡意深」と書いたといふのもう…

折口信夫から「ハクショ なんぬかす」の手紙をもらった高階廣道

やっと涼しくなった。 『橿の生』は高階廣道の歌集。奥付なく、あとがきは昭和32年2月7日付。父の高階研一は廣田神社、札幌神社、諏訪神社、皇典講究所、橿原神宮に勤めた。 廣道は大正14年1月生まれ。名前は廣田の廣、札幌神社のあった北海道の道か…

忠類村に神武天皇を祀った岡田新三郎とその姻族のこと

『岡田新三郎日誌』は昭和35年3月、北海道広尾郡忠類村役場発行。非売品。岡田新三郎は文久3年5月、群馬県新田郡生まれ。号は蘇来。旧忠類村の開拓者。晩年は鍼灸や御嶽教との関はりもある。昭和19年没。 本書は明治27年6月から29年12月までの…

萬朝報の社長就任の話があった尾津喜之助

週刊サンケイ昭和28年3月15日号に、「新宿藪の中 駈出し記者の手帳 紙の弾丸乱れ飛ぶ山手界隈」といふ記事がある。記事名だけではわからないが、これは尾津喜之助と新聞にまつはるもの。 尾津の竜宮マートが建築基準法違反だとして、山の手新聞(社長・…

スミスの飛行機への体当たりを夢想した渡邊貴知郎

『日米の運命』は渡邊貴知郎、大正14年2月、対米国民同志会出版部発行。渡邊は同会会長で前萬朝報言論記者。 言論記者といふのは馴染みがないが、論説委員のやうなものだらうか。黒岩周六社長の秘書的なことをしてゐた。その時は「天下の国士団体諸君に応…

「山下清君的奇行」の片岡駿

これは尤物。『全有連』第6号は片岡駿追悼号。発行年月日がないが、片岡の二年祭に合はせて作られたので昭和59年秋ごろか。後半の追悼集には26人が思ひ出を寄せる。 片岡駿は明治37年6月、岡山・津山生まれ。昭和57年10月13日、78歳で没。神…

北昤吉「陸軍パンフは未熟なる抽象論」

同じ旬刊全貌昭和34年3月1日号に、北昤吉が「二・二六事件の真相 私だけが知っている」を書いてゐる。一輝の弟の昤吉が事件の詳細を語る。当日は早大で同僚の親友、武田豊四郎と日本新聞社などに行ってゐる。 翌年7月21日検挙されたのは、磯部浅一の…

富士山麓に皇居を造る田中清一

『旬刊全貌』昭和34年3月1日号、通巻89号に「富士山麓に皇居を造る男」 (陛下にウンと儲けて戴くつもりじや!)の記事。 その男とは田中製作所の田中清一。日本列島に高速道路を縦貫させる田中プランで注目を集めた。田中は富士山麓に皇居を造営し、陛…

巽忠春「ダイヤモンドは永久的な財産」

『宝石と共に五十年』は巽忠春著、株式会社タツミ商店発行、有限会社少年社編集、昭和55年発行。函。序文は櫻井欽一、黒澤為重。 巽は明治39年2月生まれ。宝石一筋で業界の生き字引ともいはれる長老。父の時代からの宝石業界の趨勢と自伝を記す。見出…

「国民の良識」は決して眠れる獅子ではない

『皇室をお護りするために』は、皇室の尊厳をお護りする請願運動全国連絡協議会の編集・発行。昭和36年9月15日初版、11月15日再版。 まえがきに発行の趣旨が述べられる。昭和35年12月、「わが国における代表的な総合雑誌」である中央公論に、深…

藤本太太也「唯一陛下だけがその責任が存在しないのである」

『形而上学的右翼の考察』は藤本太太也著、日本民族思想研究所発行、序文の日付は平成5年7月。無定価とある。 著者が右翼の精神について、自分の思ふところを論じたもの。目次も章立てもなく、話題を変へるときは1行空白をあける体裁。序文は「人間の生き…

救国血盟団団長兼日本無政府主義連盟執行委員長の訪問を受けた高岡幸雄

『新聞横町』は高岡幸雄著、六月社、昭和34年9月発行。高岡は明治39年、北海道釧路生まれ。早稲田大学卒業後、読売新聞入社。販売、事業、講演部に勤める。昭和25年産経新聞東京発行に際し、初代販売部長兼事業部長。27年、読売の大阪進出に際し復…

伊藤繁太「日本人の胸の内には悪魔の霊が宿つて居る」

『国体基礎画解』は伊藤繁太編、小樽市のイサミヤ発行、昭和9年12月発行、昭和10年3月2版。 子供でも分かるやうに、絵を用いて日本の神話を語り、国体を明らかにしようとした書。…この通りなら珍しくもないが、「はしかき」にはただならぬ言葉も含ま…

霊仁王「角田清彦氏の至誠には心から感動」

『正さねばならぬ美作の歴史』は美作後南朝正史研究会 霊仁王(こまひとおう)編著、発行は岡山市の流王農、発売は温羅書房。「謹呈 流王農」の署名と印。平成5年6月初版、平成10年11月2刷。昭和50年発行のものの新装版。写真が追加されてゐる。 美作…

財津香雪「高天原ハ地面ヲ離ルヽ上空凡ソ二十里ノ所」

『通俗神道略解』は財津香雪著。筑紫史談付録。大正12年3月の日付あり。本文21ページ。豊後・日田の著者が神道を説く。巻末に「大和民族繁殖略図」が折りたたまれてゐる。日本を中心にした地図で、上が九州、下が本州。北海道はない。九州の中に神名が…

丸山直樹「オオカミは人を襲わない」

今日は新しい本。『オオカミ冤罪の日本史』。丸山直樹著、静岡県の一般社団法人日本オオカミ協会発行。表紙、扉などの副題は「オオカミは人を襲わない」、奥付の副題は「オオカミ人食い記録は捏造だった」。発行年月日の記載なし。あとがきの日付けは201…

太西威尊「邪神邪霊あつかいはいけません」

『太古宇宙光照神道(あまひのおおみち)』はあまひのおおみち国際本部出版部発行。第55号は昭和64年発行。 太西威尊(たいさいあらたかあなあ)は大連神社に奉仕してゐたとき、親神様から神道の世界宣布と地球連邦大平和運動を命ぜられた。 伊勢神宮の日本…

夢で神の国と地獄を訪れた琴錫龍

『キリストの戦争裁判』は琴錫龍著、I・N・C・A出版部(国際人格者協会)発行。昭和21年5月発行。著者は朝鮮人。東京大空襲で、本所福音協会の恩師、広野捨次郎牧師を亡くした。 その広野牧師が夢の中に現れて、神の国や地獄を案内してくれた。古今東西の有…

「勅諭ノ一字一句ハ神霊ノ結晶」

『勅諭を捧体し奉りて』は著者、出版者などの記載なし。本文に「肇国二千六百年の式典」とあるので昭和15年前後、追記に昭和16年6月とあるのでその頃のもの。 国民、特に軍人の心構へを説いたもので、大義に透徹していつでも死地に赴けるよう修養せねば…

頭山翁の言葉で檄文の印刷をやめた齋藤静弘

『真実を求めて』は齋藤静弘著、昭和51年7月、印刷堂発行。序は加部明三郎板橋区長、元駒本小学校長の武藤良吉、詩人の井上八蔵。家系図や集合写真、家族の近況なども載せてゐる。 明治36年に群馬県に生まれ、大正10年上京して印刷会社、印刷堂を設立…

富士宮瓊光「桃太郎とは生命原核をもてる存在の名である」

『霊峰富士』は昭和34年12月、富士宮瓊光、小壺天書房。序は水野成夫と徳川夢声。跋は藤沢親雄と大久保弘一。大久保は長年、著者と行動・研修を共にしてきたといふ。藤沢曰く「著者は日本の将来を荷う神才である」。 著者はいつも「富士は神造のピラミッ…

奥村喜和男に万年筆を逆手に持って迫られた堀川直義

『ブン屋紳士録』は堀川直義著、秋田書店、昭和41年5月。表紙カバー・カット関孝。扉に「面接博士の面接メモ」とある。堀川は明治44年京都生まれ、京大心理学科卒。朝日新聞記者。面接に関する著書多数。 本書は知り合った人々の逸話集。名前だけの人…

熊沢天皇を霊的に説得した小泉太志命

『三劫の帝王』は三重県の神武参剣道場、昭和53年7月発行、非売品。表紙と扉は竹村碩峯著、奥付では編者。竹村が道場の小泉太志命について、世の中に伝へようとして記したもの。 「はじめに」にはその甚大な苦労を記す。 宇宙を捉える道具が発見されない…

伊藤律暗殺仮装事件の浅沼龍三こと山本卯一

『旋風』(白文社)は昭和24年2月号が第2巻第1号、通巻第7号。この号に「左右両翼を食ふ男 仮装暗殺事件の真相」が載ってゐる。 前年9月、長崎県生まれの元炭坑夫、浅沼龍三こと山本卯一が伊藤律を暗殺しようとしたが翻意し、原宿署に自首したのだと…

大植明正「神は超合理の神である」

『永遠の栄えに到る道』は大植明正編、昭和31年6月、天社山蔭神道愛信会内超真理研究会発行の冊子。書名などから、どんな秘法が記されてゐるのかと頁を繰ると肩透かしを食ふ。序に曰く 事業の繁栄にしても、経済の法則を研究し需要と消費量、その供給量と…

松岡譲「ただ涙が出る」

『問題の創作 法城を護る人々に就て』は本文31ページの小冊子。奧付などなしで、長谷川巳之吉が「大震災にもめげず…」と書いてゐるので関東大震災後の発行。 表紙に長谷川巳之吉「信條の實現」とあるのは、本文では「信條の實現 鷲尾順敬著『大日本宗教文…

谷村金一「実に戦慄すべき有様が、繰り返されて居るのであります」

『対生物戦への兵器の整備 熱は生命線守備の第一線』は谷村金一著、大日本健康増進協会出版部発行、文舟舎発売、昭和10年8月1日納本。 序は警視庁防疫課長の井口乗海、浅田礼三陸軍中将、柏木正文海軍主計中将。井口曰く 顕微鏡下の世界のニウスが、新聞…

原田稔甫「握飯は立体の日の丸である」

医道社の『医道』は昭和9年1月号が第6年第57号。医道社は三則の一つに「皇国伝統の医学を復興し…『国家治療』の実現」を掲げる。主幹に就任した原田稔甫の新年の辞は、おむすびを礼賛する。 赤き梅干を白き飯で包んだ握飯は、平面の日の丸旗に対し立体…