加藤喜孝「来らなくともよい、黙契を交しておかう」

寒いから暖かくなりたい。 『二陣三陣』は二陣三陣社発行の国体政治宣伝パンフレット。「二陣三陣」といふのは日蓮の遺文から採られた。第2号「吾人の観たる現代政治と我等の運動」は昭和2年4月29日発行。 表紙裏の「二陣三陣の使命」を見ると発行者の…

ぐらい銭を戒める河合省鑑

『之は悪い癖だ』は河合省鑑著、瞳社出版部、昭和4年3月10日発行。手元のものは5月1日の5版。序は工学士の高亮範、合同毛織今津工場工場長の藤本弥治太郎、経済学士の黒田格。 河合が自身の悪い癖を綴った書で、「用事もないのに外出する癖」「物を粗…

堀田善太郎「楠公がスポーツ訓練の宗祖だ」

『密宝楠公遺訓書』は堀田善太郎編著、昭和7年11月、楠公研究会発行。堀田は元新聞記者。明治41年、奈良で老人から「楠公正行へ遺言の事」といふ写本を受け取った。腐敗堕落する現代社会を憂へてゐた堀田は、その内容を読んで大いに悟るところがあった…

林耕之「斯うも神道観の違ふのは妙なことだと思ひます」

『神道神学交論』は林耕之・上條馨共著、昭和29年5月、五十鈴会発行。序は神社本庁事務総長の吉田茂。 始まりは28年4月、山梨県の神職、上條が新報紙上に「神道宗教化の為に」を発表したことによる。上條は大正10年3月生まれ。折口信夫の神道論に共…

河越恭平「我等は別に錬成会式の直会法を案出した」

『国民皆行 みそぎ教典』は河越恭平著、東京市職員修行部禊会編纂、明徴社、昭和17年1月発行。河越は東京市勤労報国会講師、東京市職員懇談会講師、東京市職員修行部理事の肩書がある。東京市職員修行部といふのが気になる。 大政翼賛会中央訓練所が採用…

荒原諸兄麿「聖書を熟読すべし、古事記と古典を愛読せよ」

『基督教天皇論』は荒原諸兄麿著、日本ホーリネス教団発行。20ページ。終戦後だが正確な発行年不明。聖書と記紀、基督と天皇の仕組みを同様に説く。これにより日本の再建を訴へる。 日本は古来天之御中主神による一神三位一体教で仏教渡来以後天照大神のみ…

小山松吉「殊に婦人の主義者といふものには恐るべきものが時々出るのであります」

『越佐社会事業』は新潟県社会課内務内中野財団発行。昭和10年12月号が第7巻第12号。この中に前司法大臣、小山松吉の「思想犯罪と方面委員」がある。思想犯人、いはゆる主義者がなぜ生まれるのかを論じたもの。理由にはさまざまあるが、その一つは貧…

万朝報で結跏趺坐をした安藤覚

『相模聖人と讃えられる宗教政治家 安藤覚伝』は遠藤徳英著、厚木市民情報社発行、昭和48年11月発行。厚木出身の国会議員、安藤覚の伝記。製本は簡易だが、本文292ページで内容は充実。安藤の七回忌に刊行された。子供のときからの各時代の証言や談話…

第一徴兵保険の社員にお礼を言った高木恵三郎

『第一徴兵社報』は第一徴兵保険株式会社発行。昭和9年12月発行号が123号。26ページのうち、16ページが模範契約者の紹介で、赤ん坊や家族の写真であふれてゐる。生まれてすぐに保険の契約をしてゐて、裕福な家庭が多い。 次に多いのが10月18日…

中村孝也「内鮮融和は相互の必要である」

続き。中村孝也が国史教育でもう一つ改善したいことは、朝鮮について。 実に我が国史は朝鮮を除外しては正しく理解し得られないのであります。(略)そして学んで得るところのものは、朝鮮は政治的に独立力の弱いところであるといふことである。それは朝鮮の歴…

中村孝也「それは馬のたぐひでありませう」

『国史教育の改善』は中村孝也、啓明会、昭和11年8月発行。中村が国史についての意見、改善点などを述べる。時々、わかりやすい例へを交へてゐて興味深い。「歴史といふ学問の本質は婦人のやうなものであります」。 純然たる学門として成立つことをせず…

新渡戸稲造「陛下は如何なることをお考へになるだらうか」

『民間の節句 附民間信仰小史』は升味ゑきの著、教育研究会、昭和10年10月増訂再版。序文は下田次郎で、著者が岐阜高等女学校教諭として、また家庭を支へ、その上このやうな研究を成し遂げたことを称賛してゐる。研究の意義も説く。 科学よりも詩が事物…

嘉村信太郎「眼鏡は一種のインテリ美を与へて呉れることがあります」

『理容と衛生』は銀座の、美容と衛生社発行。雑誌の名前は理容で、会社の名前は美容。月刊で昭和12年6月号が第10巻第6号。大判20ページ。 嘉村信太郎医学士が「美容上から見た眼鏡」と題した見開き記事を書いてゐる。 眼鏡を掛けるのと掛けないのと…

山本白鳥「いずれ大きなこだまとなって響いていくに違いない」

『こだま 記念号』は児玉神社社務所、平成14年7月発行。児玉源太郎の生誕150年を記念したもの。内容は児玉将軍よりも、発行当時在任22年に及んだ山本白鳥宮司の足跡を振り返ったものが貴重。写真は町田敬二・飯塚友一郎両責任役員とのもの、葦津珍彦…

天野辰夫らと民衆法律相談所を開いた吉田能安

『射道の人 吉田能安』は寺田隆尚著、平成11年6月、文藝書房。弓道家の吉田能安の伝記。目次もなく、120ページほどの分量でコンパクトにまとめられてゐる。 吉田は明治24年岡山県高梁市生まれ、昭和60年11月没。昭和16年には日光東照宮社前武…

藤沢親雄「スメラクラシーは英語辞典にも採択されよう」

『皇室と国民との基本関係の現代的再認識』は藤沢親雄著、昭和36年7月、日本青年団体九州連合発行の冊子。 前年の風流夢譚事件、山口二矢事件などを受けて、左右の衝突が起こりつつあると指摘。 右翼とか左翼とかいう相対的な党派的差別を超えて現代人の…

大野慎「わが天皇は絶対唯一の至聖至高至尊であらせられる」

『理想なき民は亡ぶ』は大野慎著、大新社、昭和16年9月発行。大野は水戸学の本が多いが、この書は一風変はった日本通史。第四章の「日本歴史の修正時代」を読むと一目瞭然。記紀以外の古記録、現在偽史とされるものを取り上げてゐる。具体的には磯原文献…

芹沢雅子と三笠宮の世紀の大問答

初めから終はりまで全て面白かった。芹沢雅子『ぞうきんと三笠宮』(昭和42年10月、原書房)は100冊選書の38。カバー袖にあらましが書いてある。 敗戦の混乱の中で“人生に今一度の生きがいを”と御殿場から上京し、練馬の一角にボロ屋を求めた35才の…

高須芳次郎「日本主義は差別を撤廃する」

『人生創造』は石丸梧平の個人誌。昭和9年6月号、通巻123号は満拾年記念号。本体が124ページで、名刺広告が16ページ付いてゐる。 中には、人類愛論をテーマにした座談会が収録されてゐる。参加者は入野寅蔵、本荘可宗、友松円諦、大槻憲二、上司小…

10億年後の新聞の夢を見た大久保武

『イン・プリント大正』は大久保武著、平成元年9月、近代文藝社。序文は祐乗坊宣明。表紙回りの装丁がお洒落。扉に曰く「太陽系の中の小さな星、地球の中のまた小さな島ニッポンに生れて、大正から昭和の四分の三世紀を生きた一庶民の生活軌跡」。 大久保は…

前頭の夏目漱石と大関の野依秀一

『健康之研究』は健康之研究社発行、大正4年8月号が1巻3号。約30ページの冊子。編集兼発行人が長谷川清で、巻頭の文章「人参は『ラヂウム』以上の霊剤なり」の執筆者が本誌主幹、長谷川泰洲。ニンジンが万病に効くといふもので、ニンジンエキスの広告…

熊谷久虎と原節子が参加した座談会

『ホームグラフ』は大阪のホームグラフ社発行の月刊グラフ誌。昭和16年1月号は第49号。「日独・生活、文化を語る座談会」が載ってゐる。出席者は独・フランク・フルターツアイテング特派員のリー・アベック、映画女優の原節子、青年文化聯盟・音楽批評…

池田潔「ぼくの読書法は、本を読むことである」

『第三の随筆』は池田潔著、昭和30年8月、読売新聞社発行。表紙カット鳥海青児。読売新書のひとつ。新書といっても現在のやうな新書版の大きさではない。ソフトカバーで気軽に読めるものといったところか。巻末広告のラインナップには「良識の泉 現代の…

スプーンを曲げられる高濱正明

『運鈍根の男の伝』は高濱正明著、ウサミプロダクション共同企画の企画・編集、平成7年11月初版、8年7月再版。 高濱の自伝。父の●(青+光)作は明治15年1月生まれ。帝国興信所(帝国データバンク)新潟支店長を務めた。正明は大正7年1月生まれ。ウナ…

ノルウェーの新聞に載った頭山翁

『新聞の今昔 激動する新聞戦国史』は河合勇著、新日本新聞社発行、錦正社発売、昭和47年12月。河合は明治32年生まれ、大正12年4月早大英文科卒、東京朝日新聞入社。戦後は日刊スポーツや新日本新聞で働く。 新聞の起源から説き起こし、大小さまざ…

三井信「神は唯空漠に存在するにあらず」

『聖勅奉行読本』は大正15年12月、聖勅奉行会発行。同会は久我常通会長、三井信理事長。 陸軍少将・男爵の黒田善治が篆刻した、教育勅語の掛け軸を頒布するために組織された。黒田は尼港事件に出兵した際、病を得て、左半身不随となり帰国。難波大助の虎…

杉田有窓子「その際にお伴を仕りたい心境である」

『天の窓 杉田有窓子詩文集』は東海日日新聞社、昭和47年1月発行。序は宇垣一成。杉田は明治40年豊橋生まれ。同社の前身、東三新聞を創刊した。戦後間もなくからのものをまとめた随筆は2段組みで情報量が多い。岩下壮一神父を描いたもの、財団法人光明…

横井時常「悪い縁起はない」

『ツキをよびこむ 縁起の本』は横井時常著、すずらん書房発行。昭和50年5月15日初版発行で手元のものは51年7月30日の5版。カバー装幀高橋雅之、本文イラスト上田武二。 手元のものは献呈の和歌付き。「吾が言葉校正もみずなりしふみ後の祭りとな…

林銑十郎「大部分がインチキだねえ」

『孝子・林銑十郎』は鍋田勇吉著、光輪閣、昭和45年9月発行。光輪閣叢書6。縦長でビニール装。著者が直接体験したことを中心に、林銑十郎の姿を生き生きと描いた。70頁と分量は多くないが、どの逸話も公式には伝はらなさうな裏面史ばかりで面白い。 …

佐伯郁郎「詩は燃焼した感情の頂点をとらへたものである」

『みくにの華』は大日本傷痍軍人会発行の機関誌。月1回発行の12頁建て。傷痍軍人へのお知らせや相談欄などがあり、桜井忠温が読み物を寄せたりしてゐる。 文苑のページでは俳句と短歌と詩を募ってゐる。選者はそれぞれ水原秋桜子、杉浦翠子、佐伯郁郎。 大…