苦学納豆の大瀧龍五郎「金と学問とは全く別問題である」

『苦学納豆』は12ページのパンフレット。大正4年1月、躬行社発行。大瀧龍五郎が東京市四谷区愛住町に設立したのが躬行社。小学校卒業者に労働の機会を与へ、学資とし、勉学の道を授ける。 具体的には納豆の販売をさせる。14条にわたる社則も載ってゐる…

負け組新聞、大阪時事新報の研究

『大阪時事新報の研究 「関西ジャーナリズム」と福澤精神』は松尾理也著、創元社、令和3年7月。 大阪時事新報といふ新聞について、明治38年の創刊から昭和の終焉までを描いた研究書。帯に「商業的負け組」とあるやうに、勝つことなく、それでも浮沈を経…

九州で国旗尊重を絶叫した藤崎善吉

使命社の『使命』は京都の村田太平が発行した小冊子。昭和5年8月号は第91号。目次に「聖戦陣頭の勇士」とあるのは、九州で国旗尊重の運動を展開した藤崎善吉を紹介したもの。寺井利一執筆。 藤崎は福岡県筑紫郡安徳村の同志。藤崎が配布した宣伝文も引用…

BOSE「あれの週刊誌版があればいいんだよ」

『明日に向かって捨てろ!!』はBOSE(スチャダラパー)著、双葉社、平成20年12月第1刷で、手元のものは平成21年3月の第2刷。永田泰大(ほぼ日刊イトイ新聞)編集・構成。表紙回りに、ものを捨てるピクトグラムがある。 副題は「BOSEの脱アーカイブ宣言…

秩父宮殿下の歌を詠んだ高島平三郎

『鴻爪録続鴻爪録』は高島平三郎著、昭和5年7月発行、発行所名なしの非売品。鴻爪録と続編を合はせたもので、ページ数は別々だが、奥付の書名は鴻爪録。 高島は児童心理学者で、東洋大学学長も務めた。この本は洋行時の歌日記で、たまに漢詩も交じる。日々…

加田哲二「読書の効果はスポーツ以上」

財団法人社会教育協会発行の『教育パンフレット』昭和15年4月10日号、第372号の表紙には「読書の方法」とある。中の目次には著者の加田哲二の名前が記されてゐる。経済学博士でファシズムについての本もあるが、この文章には読書への信頼がうかがは…

明治神宮参拝拒否報道で中国に渡った小坂徳三郎

『わたしの二十歳』は扇谷正造編、旺文社新書、昭和43年1月初版、48年12月重版。42人の執筆者が二十歳の頃の出来事を語る。本や読書にまつはる話も多い。 坂西志保は学校を追放され、図書館で手あたり次第に読んでゐた。エジソンの伝記で、エジソン…

山田忠正「一大国際歓楽境をつくれ」

『東京公論』は大東京協会発行。昭和9年8月号は第6年第8号。廃娼問題特輯がある。 主幹の山田忠正が「吉原、洲崎を解消し新たに一大国際歓楽境地区をつくれ」を書いてゐる。 山田は売笑婦そのものはなくならないといふ。 極言すれば、売笑婦を無くすれば…

工藤茂三郎「天皇は即ち太陽なり」

『日本之由来』は」工藤茂三郎著、中陽館発行、大正6年4月発行。17ページの小冊子。第1章「大日本之由来」、第2章「明道之要旨」からなる。 工藤は徳島の人。天児屋命の子孫といふ。独自の暦、中正暦で知られる。 明治天皇は五箇条の御誓文で「天地の…

乾政彦「七には強く何物かを暗示するらしい力がある」

『七を貫く』は乾政彦著、乾法律事務所発行。昭和11年11月発行、12年1月再版。表紙には磨磋秘庫叢書ともある。マサヒコと読むのだらう。 乾はある日、友人の江橋活郎から『辯護士道の七燈』といふ本を贈られた。英国判事のエドアード・パリーが書い…

出口王仁三郎「著述が一番の労働」

『昭和』(昭和青年会発行)の昭和8年8月号に、安達謙蔵が「スポーツ亡国論」を書いてゐる。安達は前内務大臣・衆議院議員。 一般学校では、運動とか衛生とかゝら考へて、スポーツはいゝものだと思つて居るらしいが、実は飛んでもない誤りである。 マラソ…

ハイジャックで沖縄行幸を阻止しようとした章二のバラ作戦

『天皇が沖縄に来る日』は大城翔著、月刊沖縄社発行、佐久田出版発行。1984年4月発行。表紙には「天皇は果して沖縄の土を踏めるか?」とある。文字だけだが、裏表紙には立ち上る黒煙と炎が描かれてゐる。あらすぢには以下の文言。 ハイジャック事件発…

朝日新聞の100年読者たち

面白く読んだ。『ありがとう100年読者 エッセーと100年読者お名前』は朝日新聞大阪本社発行。編集後記は2000年1月25日。 朝日新聞の創刊120周年、21世紀を迎へるにあたり、100年読者とエッセーを募集した。 そのうち最優秀賞1本、優秀…

斎藤至「講談社はパラダイス」

『社風美談』は大日本雄弁会講談社発行、昭和6年6月発行。講談社についての、名士や社員、少年社員による美談をまとめたもの。 名士たちは、原稿の受け取りなどにやって来る社員を褒めたたへる。礼儀正しい、言葉が丁寧、実直、会社の悪口を言はないなど…

稲葉晴忠「今は書物の余りに多きを怖れて居る」

『赤城の森』は赤城学庭会発行、大正元年12月発行号は第36号。東京・牛込にあった赤城小学校の出来事や論説、読み物などを載せる機関誌。 「児童と課外読物」と題して、稲葉晴忠が5ページにわたって課外読物の良い点や悪い点を論じてゐる。目次の稲落…

祝詞を暗誦できた渡辺美智雄

『大物が育つ家』はミサワホーム総合研究所編集・発行。昭和60年12月発行。「副題が「大物50人の自伝的家屋論」。「子育てに一家言あり―③」ともあるが、これは「ミサワ・チャイルド・ブックス」といふシリーズがあり、その3冊目といふこと。 大物の…

丁髷と禊に生きた瀧澤有徳

『隠士 瀧澤有徳』は緒方弦雄著、先哲顕彰会発行、昭和17年7月印刷発行。長野の上田で幕末から大正を過ごした瀧澤有徳について、略伝、追悼文、著作をまとめたもの。 瀧澤は弘化4(1848)年3月生まれ、大正10(1921)年7月12日没。息子の瀧澤七郎は衆…

柳原燁子「仏教は暗い、あきらめばかりが多いのです」

『婦人と修養』は大日本婦人修養会編纂、婦女界社発行。4巻2号は昭和10年2月号。柳原燁子が「悩みを円満解決する神道」を寄せてゐる(目次では「悩みを解決する神道」)。白蓮は日蓮ゆかりの名前だからか、燁子の名義になってゐる。 燁子は今までにキリス…

「雑誌は持ち時間のちょっとしたスキ間に割り込んでくる」

『ページ 目眩めく!』は社団法人・日本雑誌広告協会編集・発行。昭和56年11月印刷・発行。表紙や背にはTHE SUPER MAGAZINE AD. の表記がある。 グラビアページには、各種の雑誌をピラミッド形やひし形などに置いて紹介してゐる。それを眺めてゐると違和…

平田勲を支へた「妙布」の渡辺輝綱

稀書。『苦く懐しきわが青春』山木陋人著、平成3年2月。卒論のやうな簡易製本。56ページ。著者は昭和初期に思想検事と恐れられ、共産党の佐野、鍋山を転向させた平田勲の子息。父や家族の思ひ出話が興味深い。 親父は不思議な人物であり摑み所のない人物…

レーニンの神経痛治療に期待された中村春吉

『愚連隊』は獅子文六著、角川書店、昭和32年1月発行。宮田重雄装幀。ほとんどが著者の身の回りに起こったことを描いた随筆集。全12編。帯に「横浜(ハマ)育ちの作者が…打ち出す会心の珠玉集」とあるが、横浜に関係するのははじめの2編のみ。獅子が移…

留め札を使はない古書店主、岩上作松

『それぞれの機会』は日向康著、中央公論社、昭和39年4月発行。ビニール装で帯文は永井道雄東京工業大学教授。 著者は大正15年生まれ、「思想の科学」同人。目次は2つの項目しかない。「岩上作松の場合」と「亙会嘉吉の意見」。岩上は仙台の古書店主…

危険思想に対抗した大河内翠山

『速記曼荼羅鉛筆供養――大河内翠山と同時代の速記者たち』は竹島茂著、つくば市のSTEP発行。上巻は平成16年7月、下巻は8月発行。下巻に人名索引。 上巻303ページ、下巻309ページ。分量も多いが、執筆にかけた時間も多い。著者は大正14年3月生ま…

中西元治郎「キリスト教は文明の障害」

続き。キリスト教を批判した大内青巒。しかしこれは遠い日本の仏教者が欧米の宗教を論じたもの。『大同新報』には渡米・滞米の経験者によるキリスト教批判も載ってゐる。中西元治郎「異教の国家の体性を傷ふの害恐る可し」(目次では中西元次郎「~害や恐る…

大内青巒の差別論

『大同新報』は大同団編輯局発行。第17号は明治22年11月28日発行。尊皇奉仏を合言葉に、宗教界の団結を訴へる。キリスト教を警戒し、攻撃もする。 「差別平等の理に依て尊皇奉仏の大義を論す」は大内青巒述、荒浪市平速記。 大内は外部からの疑問を…

萬里小路操子だった山岸史枝

衝撃の内容。 『まほろばの御沙汰 萬里小路操子姫の生涯』は小山啓子著、自分流文庫発行、平成27年8月発行。著者は代々続く宮司の家に生まれる。新聞に連載小説を執筆したこともある。 萬里小路操子は「までのこうじ・あやこ」。全3部のうち第1部が彼女…

日本青年協会常務理事・青木常盤

『小説 青木常盤』は関豊作、「常盤」編集室発行、昭和50年6月発行。全158ページ。著者は明治30年6月生まれ。中外商業新報、萬朝報などの社会部で働いた。 青木常盤は会津・猪苗代生まれ。会津中学・福島師範などを経て神奈川農事試験場、鳥取大学…

高畑和夫「集金は読者に快感を与える行為です」

『新聞販売の基本』は高畑和夫著、読売情報開発センター発行、昭和50年12月15日発行。 高畑は昭和6年生まれ。神戸商科大学卒業。マーケティング研究センター所属。大阪読売販売開発訓練委員会専任講師。 370ページで重みがある。表紙回りにびっし…

草莽の大極殿狂人、棚田嘉十郎

『小説 棚田嘉十郎 平城宮跡保存の先覚者』中田善明著、京都書院発行、昭和63年5月発行。 平城宮跡の保存に半生をささげた、棚田嘉十郎を描いたもの。実在の人物や団体の名前、趣意書、新聞記事を登場させる。 棚田は一介の植木職人で、観光客から平城宮…

目次的学問といはれた小原龍海

続き。『漫画』昭和25年7月号には「探訪 御落胤」のほかにも気になる記事があった。目次では「黒幕和尚暗躍す」(進藤朝夫)。ページをめくると、「黒幕和尚暗躍す―小原龍海師のこと―」と、副題がついてゐる。東久邇稔彦の伝記などに出てくる、小原の実像に…