第一徴兵保険の社員にお礼を言った高木恵三郎

『第一徴兵社報』は第一徴兵保険株式会社発行。昭和9年12月発行号が123号。26ページのうち、16ページが模範契約者の紹介で、赤ん坊や家族の写真であふれてゐる。生まれてすぐに保険の契約をしてゐて、裕福な家庭が多い。 次に多いのが10月18日…

中村孝也「内鮮融和は相互の必要である」

続き。中村孝也が国史教育でもう一つ改善したいことは、朝鮮について。 実に我が国史は朝鮮を除外しては正しく理解し得られないのであります。(略)そして学んで得るところのものは、朝鮮は政治的に独立力の弱いところであるといふことである。それは朝鮮の歴…

中村孝也「それは馬のたぐひでありませう」

『国史教育の改善』は中村孝也、啓明会、昭和11年8月発行。中村が国史についての意見、改善点などを述べる。時々、わかりやすい例へを交へてゐて興味深い。「歴史といふ学問の本質は婦人のやうなものであります」。 純然たる学門として成立つことをせず…

新渡戸稲造「陛下は如何なることをお考へになるだらうか」

『民間の節句 附民間信仰小史』は升味ゑきの著、教育研究会、昭和10年10月増訂再版。序文は下田次郎で、著者が岐阜高等女学校教諭として、また家庭を支へ、その上このやうな研究を成し遂げたことを称賛してゐる。研究の意義も説く。 科学よりも詩が事物…

嘉村信太郎「眼鏡は一種のインテリ美を与へて呉れることがあります」

『理容と衛生』は銀座の、美容と衛生社発行。雑誌の名前は理容で、会社の名前は美容。月刊で昭和12年6月号が第10巻第6号。大判20ページ。 嘉村信太郎医学士が「美容上から見た眼鏡」と題した見開き記事を書いてゐる。 眼鏡を掛けるのと掛けないのと…

山本白鳥「いずれ大きなこだまとなって響いていくに違いない」

『こだま 記念号』は児玉神社社務所、平成14年7月発行。児玉源太郎の生誕150年を記念したもの。内容は児玉将軍よりも、発行当時在任22年に及んだ山本白鳥宮司の足跡を振り返ったものが貴重。写真は町田敬二・飯塚友一郎両責任役員とのもの、葦津珍彦…

天野辰夫らと民衆法律相談所を開いた吉田能安

『射道の人 吉田能安』は寺田隆尚著、平成11年6月、文藝書房。弓道家の吉田能安の伝記。目次もなく、120ページほどの分量でコンパクトにまとめられてゐる。 吉田は明治24年岡山県高梁市生まれ、昭和60年11月没。昭和16年には日光東照宮社前武…

藤沢親雄「スメラクラシーは英語辞典にも採択されよう」

『皇室と国民との基本関係の現代的再認識』は藤沢親雄著、昭和36年7月、日本青年団体九州連合発行の冊子。 前年の風流夢譚事件、山口二矢事件などを受けて、左右の衝突が起こりつつあると指摘。 右翼とか左翼とかいう相対的な党派的差別を超えて現代人の…

大野慎「わが天皇は絶対唯一の至聖至高至尊であらせられる」

『理想なき民は亡ぶ』は大野慎著、大新社、昭和16年9月発行。大野は水戸学の本が多いが、この書は一風変はった日本通史。第四章の「日本歴史の修正時代」を読むと一目瞭然。記紀以外の古記録、現在偽史とされるものを取り上げてゐる。具体的には磯原文献…

芹沢雅子と三笠宮の世紀の大問答

初めから終はりまで全て面白かった。芹沢雅子『ぞうきんと三笠宮』(昭和42年10月、原書房)は100冊選書の38。カバー袖にあらましが書いてある。 敗戦の混乱の中で“人生に今一度の生きがいを”と御殿場から上京し、練馬の一角にボロ屋を求めた35才の…

高須芳次郎「日本主義は差別を撤廃する」

『人生創造』は石丸梧平の個人誌。昭和9年6月号、通巻123号は満拾年記念号。本体が124ページで、名刺広告が16ページ付いてゐる。 中には、人類愛論をテーマにした座談会が収録されてゐる。参加者は入野寅蔵、本荘可宗、友松円諦、大槻憲二、上司小…

10億年後の新聞の夢を見た大久保武

『イン・プリント大正』は大久保武著、平成元年9月、近代文藝社。序文は祐乗坊宣明。表紙回りの装丁がお洒落。扉に曰く「太陽系の中の小さな星、地球の中のまた小さな島ニッポンに生れて、大正から昭和の四分の三世紀を生きた一庶民の生活軌跡」。 大久保は…

前頭の夏目漱石と大関の野依秀一

『健康之研究』は健康之研究社発行、大正4年8月号が1巻3号。約30ページの冊子。編集兼発行人が長谷川清で、巻頭の文章「人参は『ラヂウム』以上の霊剤なり」の執筆者が本誌主幹、長谷川泰洲。ニンジンが万病に効くといふもので、ニンジンエキスの広告…

熊谷久虎と原節子が参加した座談会

『ホームグラフ』は大阪のホームグラフ社発行の月刊グラフ誌。昭和16年1月号は第49号。「日独・生活、文化を語る座談会」が載ってゐる。出席者は独・フランク・フルターツアイテング特派員のリー・アベック、映画女優の原節子、青年文化聯盟・音楽批評…

池田潔「ぼくの読書法は、本を読むことである」

『第三の随筆』は池田潔著、昭和30年8月、読売新聞社発行。表紙カット鳥海青児。読売新書のひとつ。新書といっても現在のやうな新書版の大きさではない。ソフトカバーで気軽に読めるものといったところか。巻末広告のラインナップには「良識の泉 現代の…

スプーンを曲げられる高濱正明

『運鈍根の男の伝』は高濱正明著、ウサミプロダクション共同企画の企画・編集、平成7年11月初版、8年7月再版。 高濱の自伝。父の●(青+光)作は明治15年1月生まれ。帝国興信所(帝国データバンク)新潟支店長を務めた。正明は大正7年1月生まれ。ウナ…

ノルウェーの新聞に載った頭山翁

『新聞の今昔 激動する新聞戦国史』は河合勇著、新日本新聞社発行、錦正社発売、昭和47年12月。河合は明治32年生まれ、大正12年4月早大英文科卒、東京朝日新聞入社。戦後は日刊スポーツや新日本新聞で働く。 新聞の起源から説き起こし、大小さまざ…

三井信「神は唯空漠に存在するにあらず」

『聖勅奉行読本』は大正15年12月、聖勅奉行会発行。同会は久我常通会長、三井信理事長。 陸軍少将・男爵の黒田善治が篆刻した、教育勅語の掛け軸を頒布するために組織された。黒田は尼港事件に出兵した際、病を得て、左半身不随となり帰国。難波大助の虎…

杉田有窓子「その際にお伴を仕りたい心境である」

『天の窓 杉田有窓子詩文集』は東海日日新聞社、昭和47年1月発行。序は宇垣一成。杉田は明治40年豊橋生まれ。同社の前身、東三新聞を創刊した。戦後間もなくからのものをまとめた随筆は2段組みで情報量が多い。岩下壮一神父を描いたもの、財団法人光明…

横井時常「悪い縁起はない」

『ツキをよびこむ 縁起の本』は横井時常著、すずらん書房発行。昭和50年5月15日初版発行で手元のものは51年7月30日の5版。カバー装幀高橋雅之、本文イラスト上田武二。 手元のものは献呈の和歌付き。「吾が言葉校正もみずなりしふみ後の祭りとな…

林銑十郎「大部分がインチキだねえ」

『孝子・林銑十郎』は鍋田勇吉著、光輪閣、昭和45年9月発行。光輪閣叢書6。縦長でビニール装。著者が直接体験したことを中心に、林銑十郎の姿を生き生きと描いた。70頁と分量は多くないが、どの逸話も公式には伝はらなさうな裏面史ばかりで面白い。 …

佐伯郁郎「詩は燃焼した感情の頂点をとらへたものである」

『みくにの華』は大日本傷痍軍人会発行の機関誌。月1回発行の12頁建て。傷痍軍人へのお知らせや相談欄などがあり、桜井忠温が読み物を寄せたりしてゐる。 文苑のページでは俳句と短歌と詩を募ってゐる。選者はそれぞれ水原秋桜子、杉浦翠子、佐伯郁郎。 大…

五月に詠める歌三首

新しきすめらみことの大御世に 薄葉透かして日の照り通る 皇恩の十の休みと知らぬがに 外つ国に発つ人のさはなり まめ人のいたつき癒ゆる日のもがも 垂るゝ恵みに漏るゝしづくよ

川崎に計画された義士神社

『日本義道会趣意書』は10ページほどの冊子。奥付はないが、文中に皇紀2596年8月とあるので昭和11年以降の発行。 かつて、赤穂義士の大石良雄が討ち入り前、川崎の平間村に家を建て、同志糾合の場所としたという。日本義道会はこれを記念し、各種の…

『神ながらの道』しか読んだことがない小原さん

佐藤勝治『宮澤賢治批判 賢治愛好者への参考意見』は十字屋書店発行、昭和27年12月発行。発行元は現在は神保町の新刊書店。 佐藤はもと宮澤賢治の研究者で法華経の信仰者だった。しかしこの書は一転して、賢治への批判をぶつけてゐる。その論点は、賢治…

広瀬喜太郎「わたくしは一種の戦慄をおぼえる」

続き。明治39年、広瀬喜太郎が中学二年生だったときのこと。当時富山・高岡に図書館がなかったことを残念に思ひ、先生にその必要性を訴へた。念願かなって図書館が出来ることになり、開館式にも招かれた。 わたくしは異常の感激を覚えた。ああ図書館―夢に…

蘇峰宗の洗礼を受けた広瀬喜太郎

『暁堂感銘録』は広瀬喜太郎の回顧録・随筆集。昭和43年11月、限定700部発行。巻末の人名索引も含め全384ページで、手に持つとずしりと重い。 広瀬は富山・高岡の出身。教師の書いたものは堅苦しいものが多いが、この書は人間味があふれて読者を飽…

正真正義「アメリカは日本が作った」

正真正義『綜合帰一の新日本の創造』は国民思想指導原理研究会発行。手元のものは昭和13年1月の3版。 12年8月の再版の辞が載り、6月の初版発行時のことを回顧してゐる。 本書は理論上からも実際上からも相当の研究を重ねたものであるから、研究不足…

精神研究会地方委員だった補永茂助

『精神療法案内書』は古屋鐵石の設立した精神研究会の冊子。大正9年2月、20ページ。表紙には明治天皇御製を8首掲げる。人の心の大切さを説いたもので、天皇の権威を借りて、会が怪しくないものであることをアピールしてゐる。右に「生活安定の道此書に…

望月紫峰「水戸は、志、天下にある人々のエルサレムでありました」

『新時代の式辞演説』(中山明編著、帝国書籍協会、昭和6年)の函と本体には、馬のやうな虎のやうな、王冠を被った奇怪な動物が描かれてゐる。長い舌が本の内容を表してゐるのかもしれない。 新年の宴会や開店披露、忘年会、入学、卒業、弔辞など、様々なあ…