2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

朝日平吾の墓参りをした頭山翁を問責した安法探

『失敗者の言』は昭和17年8月の発行。書物展望社の発行だからか、装丁が御洒落に見える。著者は安法探。もちろんアンポンタンのもぢりだらう。巻頭に眼鏡の著者近影があるが、署名はやはり安法探。 弁護士の鵜沢総明を恩師としてゐるが、詳しいことは韜晦…

トルストイを原書で読んだ平佐二郎

続き。平佐二郎は平佐是純陸軍騎兵学校校長の次男。特務機関員で、他に檜山昌平、火山将軍ともよばれた。白系露人、セミョーノフの金塊事件と関はりがあるかのやうに新聞に書き立てられた。しかし新聞記者が山口の実家を訪ねると、非常に貧しい暮らしぶり。…

汝ら互の足を洗へ‐洗足団を組織した林省三

『荒野の石―美しき真珠を捜す商人物語』(林省三、甲陽書房、昭和39年6月刊)は書名だけではちょっと内容が分からない。著者の林省三は明治19年京都生まれ。救世軍での伝道、朝鮮での融和運動、安眠島での松脂事業に奮戦力闘した人物で、本書には二段組5…

藤井五一郎が会長を務めた「行の会」

続き。藤井五一郎は蒙古で、徳王にも会ってゐる。住吉国雄が藤井から聞いた話を記してゐる。 徳王の家には上等のジョニオーカーや洋菓子などがあって、蒙疆のサイハテの地にこんなものがあろうとは思いも寄らぬことだった。馬の乳を醸造してつくられた馬乳酒…

「日本暗殺秘録」のシナリオを書き直させた藤井五一郎

『藤井五一郎の生涯』(藤井五一郎追想録刊行世話人編集発行、昭和46年10月刊)は、背も表紙も「藤井五一郎」の部分が達筆で判読できず、一見誰の本か分からない。しかし読んでみると、その人柄や交友が分かる。 藤井は血盟団事件や帝人事件で裁判長を務め…

朝日新聞調査部の切り抜きを読んだ徳川夢声

続き。岡田茂吉からNHKのラジオ放送をしたいと言はれた金川文楽。 教祖が録音の注意を聞くので、私はアナウンサーに何を聞かれても「こうです」と断定しないように、「私はこう思います」とそれから、科学や医者を頭から排斥しないよう、と、くれぐれもい…

水晶で世界中の戦死者を慰霊した金川文楽

『自伝 素っ裸人生』(金剛出版、昭和38年11月)は、現代流の義太夫、金川節を大成しようとした金川文楽の自伝。 でも義太夫の話は殆ど出てこない。多彩な交友録が興味深く、しかもなぜか宗教者が多い。 昭和26年9月8日はサンフランシスコ講和条約調印…