2021-01-01から1年間の記事一覧

甘露水を授ける十天上王神

『甘露水と共に』は宗教法人おうかんみち発行の小冊子。昭和54年11月初版発行、平成元年10月改訂3版、13年6月新改訂発行。 甘露水を戴いた方々は、常に座右に備えるべきもの、とはしがきにある。教理や御祭神について解説されてゐる。天理教や日本…

神様に魂を入れる男 

不思議で素敵な記事を読んだ。 『旅の友』は名古屋市の中部旅行協会発行。昭和6年2月号の第5年第2号に、「神様に魂を入れる話」が載ってゐる。筆者は目次では弓谷一郎、本文では弓谷一三。 8月に伊豆の西海岸、土肥を訪れた筆者。農家に何日か滞在した…

万歳発声の投書をした右田東次郎

『三朝史話』は財政経済学会発行の非売品。12ページの小冊子。 財政経済学会では裏表紙の広告の通り、『新聞集成 明治編年史』を発行してゐた。各巻約500ページで、明治時代の新聞記事を収録したもの。「読んで面白い明治の大事典」。編輯主任中山泰昌…

軍国漫画のファンだった安田徳太郎

続き。『児童』の軍事熱特集。 工学士・日本大学教授の古賀邦夫は「少年軍事小説と理学思想」を書いてゐる。子供の頃は江見水蔭や押川春浪の小説を夢中になって読んでゐた。軍事小説は場合によっては有益になる。しかし、子供に有害な場合もある。そこで平田…

西村真琴「児童の軍事熱は柿の渋味だ」

11月発行の『神保町が好きだ!』第15号の特集は「子どもの本と神保町」。50ページオールカラーで子どもの本や雑誌を取り上げ、神田神保町近辺の出版社が大きな役割を果たしたことが語られてゐる。「子どもの本の聖地=神保町」をうたってゐる。実際は…

「万世太平の碑」「教学興隆の碑」を建立した青木勘二

『青木勘二』は奥付、発行所などの記載なし。「はじめに」には昭和49年3月15日。函。 青木は明治8年3月生まれ、昭和45年7月没。福岡県黒土村の名村長として知られ、高松宮殿下のご台臨も仰いだ。本書は関係者や家族の追憶、自筆資料、年譜などを集…

天関打開議員聯盟の議員たち

『天関打開期成会 会報』は巻号の記載なし、昭和17年12月18日の日付。10ページで各支部の修斎会、支部結成、会員倍加命令などを伝へる。 天関打開議員聯盟の結成を伝へる記事では「一挙貴衆両院議員十六名を抱擁した」といふ見出し。 12月15日ま…

赤尾敏「ボクは、新聞推薦選挙だと言ってるんだ」

『Emmaエンマ』は文藝春秋の隔週刊雑誌。写真が主だが、丸谷才一の連載など文章もある。昭和61年7月23日号は2巻14号。116ページで、ほかの写真週刊誌より厚みがある。参議院選挙に出た泡沫候補たちが載ってゐる。 表紙では「赤尾敏らホーマツ候補…

六原青年道場の訓練生を教へた阿部清治郎

『もうひとつの昭和史 北上山系に生きた人々』は田中義郎・塚田博康・陸口潤著、辺境社発行、勁草書房発売。昭和52年7月発行。疎開、金融恐慌、飢饉、農地解放など、岩手県の話題を14本集めたもの。もとは東京新聞社会面の連載で、加筆したり項目を追加…

高木兼寛「常に音声を多く使用する人々は、其心身概して強健なり」

『国民必修 神社概説』は高木兼寛著。発行所の記載なし。縦型の冊子。大正8年4月に3版発行で、2月の初版以来、合計5万部印刷とある。非売品とあり、神社などで頒布したのだらうか。 著者の高木兼寛は脚気論争で森鷗外と対立し、のちに高木の正しさが証…

柳田国男の本を読んだ山口良吾と良忠

『われ判事の職にあり 山口良忠』山形道文著、佐賀市の出門堂発行。平成22年発行。肥前佐賀文庫の一冊。文庫といっても大きなサイズ。もとは昭和57年、文藝春秋発行。5版で絶版となってゐたのを、図版などを増補して復刊した。 山口は昭和22年、ヤミ…

婦人専門書籍店を開いた磯貝道子

『女学世界』博文館発行、大正12年3月号は第23巻第3号。1ページだけだが興味深い記事がある。「時代の要求によつて生れた 婦人専門の書籍専門店を訪ふ」。無署名。外国の話かと思ったがさうではなく、東京の四谷見附にあった。 名前は家庭堂書店。看…

生田蝶介「川田氏の勁さは手力男の神であつた」

『青雲』第3巻第3号は昭和41年3月発行。故川田順先生追悼号。本文38ページ。発行所名は田中御幸方とだけある。 同年1月に亡くなった川田について、関係者らが思ひ出や和歌を寄せてゐる。詩人の生田蝶介は終戦後の自身の困窮から書き起こす。生田は静…

裸で本読む川田順

涼しくなったので読書をするのがいいといはれるやうになったけれども、歌人の川田順は夏の読書がいいといってゐる。 逓信協会発行の『逓信協会雑誌』昭和27年7月号、第494号に「炎暑礼讃』を寄せてゐる。のっけから「私は夏が大好きだ」で始まる。女性…

苦学納豆の大瀧龍五郎「金と学問とは全く別問題である」

『苦学納豆』は12ページのパンフレット。大正4年1月、躬行社発行。大瀧龍五郎が東京市四谷区愛住町に設立したのが躬行社。小学校卒業者に労働の機会を与へ、学資とし、勉学の道を授ける。 具体的には納豆の販売をさせる。14条にわたる社則も載ってゐる…

負け組新聞、大阪時事新報の研究

『大阪時事新報の研究 「関西ジャーナリズム」と福澤精神』は松尾理也著、創元社、令和3年7月。 大阪時事新報といふ新聞について、明治38年の創刊から昭和の終焉までを描いた研究書。帯に「商業的負け組」とあるやうに、勝つことなく、それでも浮沈を経…

九州で国旗尊重を絶叫した藤崎善吉

使命社の『使命』は京都の村田太平が発行した小冊子。昭和5年8月号は第91号。目次に「聖戦陣頭の勇士」とあるのは、九州で国旗尊重の運動を展開した藤崎善吉を紹介したもの。寺井利一執筆。 藤崎は福岡県筑紫郡安徳村の同志。藤崎が配布した宣伝文も引用…

BOSE「あれの週刊誌版があればいいんだよ」

『明日に向かって捨てろ!!』はBOSE(スチャダラパー)著、双葉社、平成20年12月第1刷で、手元のものは平成21年3月の第2刷。永田泰大(ほぼ日刊イトイ新聞)編集・構成。表紙回りに、ものを捨てるピクトグラムがある。 副題は「BOSEの脱アーカイブ宣言…

秩父宮殿下の歌を詠んだ高島平三郎

『鴻爪録続鴻爪録』は高島平三郎著、昭和5年7月発行、発行所名なしの非売品。鴻爪録と続編を合はせたもので、ページ数は別々だが、奥付の書名は鴻爪録。 高島は児童心理学者で、東洋大学学長も務めた。この本は洋行時の歌日記で、たまに漢詩も交じる。日々…

加田哲二「読書の効果はスポーツ以上」

財団法人社会教育協会発行の『教育パンフレット』昭和15年4月10日号、第372号の表紙には「読書の方法」とある。中の目次には著者の加田哲二の名前が記されてゐる。経済学博士でファシズムについての本もあるが、この文章には読書への信頼がうかがは…

明治神宮参拝拒否報道で中国に渡った小坂徳三郎

『わたしの二十歳』は扇谷正造編、旺文社新書、昭和43年1月初版、48年12月重版。42人の執筆者が二十歳の頃の出来事を語る。本や読書にまつはる話も多い。 坂西志保は学校を追放され、図書館で手あたり次第に読んでゐた。エジソンの伝記で、エジソン…

山田忠正「一大国際歓楽境をつくれ」

『東京公論』は大東京協会発行。昭和9年8月号は第6年第8号。廃娼問題特輯がある。 主幹の山田忠正が「吉原、洲崎を解消し新たに一大国際歓楽境地区をつくれ」を書いてゐる。 山田は売笑婦そのものはなくならないといふ。 極言すれば、売笑婦を無くすれば…

工藤茂三郎「天皇は即ち太陽なり」

『日本之由来』は」工藤茂三郎著、中陽館発行、大正6年4月発行。17ページの小冊子。第1章「大日本之由来」、第2章「明道之要旨」からなる。 工藤は徳島の人。天児屋命の子孫といふ。独自の暦、中正暦で知られる。 明治天皇は五箇条の御誓文で「天地の…

乾政彦「七には強く何物かを暗示するらしい力がある」

『七を貫く』は乾政彦著、乾法律事務所発行。昭和11年11月発行、12年1月再版。表紙には磨磋秘庫叢書ともある。マサヒコと読むのだらう。 乾はある日、友人の江橋活郎から『辯護士道の七燈』といふ本を贈られた。英国判事のエドアード・パリーが書い…

出口王仁三郎「著述が一番の労働」

『昭和』(昭和青年会発行)の昭和8年8月号に、安達謙蔵が「スポーツ亡国論」を書いてゐる。安達は前内務大臣・衆議院議員。 一般学校では、運動とか衛生とかゝら考へて、スポーツはいゝものだと思つて居るらしいが、実は飛んでもない誤りである。 マラソ…

ハイジャックで沖縄行幸を阻止しようとした章二のバラ作戦

『天皇が沖縄に来る日』は大城翔著、月刊沖縄社発行、佐久田出版発行。1984年4月発行。表紙には「天皇は果して沖縄の土を踏めるか?」とある。文字だけだが、裏表紙には立ち上る黒煙と炎が描かれてゐる。あらすぢには以下の文言。 ハイジャック事件発…

朝日新聞の100年読者たち

面白く読んだ。『ありがとう100年読者 エッセーと100年読者お名前』は朝日新聞大阪本社発行。編集後記は2000年1月25日。 朝日新聞の創刊120周年、21世紀を迎へるにあたり、100年読者とエッセーを募集した。 そのうち最優秀賞1本、優秀…

斎藤至「講談社はパラダイス」

『社風美談』は大日本雄弁会講談社発行、昭和6年6月発行。講談社についての、名士や社員、少年社員による美談をまとめたもの。 名士たちは、原稿の受け取りなどにやって来る社員を褒めたたへる。礼儀正しい、言葉が丁寧、実直、会社の悪口を言はないなど…

稲葉晴忠「今は書物の余りに多きを怖れて居る」

『赤城の森』は赤城学庭会発行、大正元年12月発行号は第36号。東京・牛込にあった赤城小学校の出来事や論説、読み物などを載せる機関誌。 「児童と課外読物」と題して、稲葉晴忠が5ページにわたって課外読物の良い点や悪い点を論じてゐる。目次の稲落…

祝詞を暗誦できた渡辺美智雄

『大物が育つ家』はミサワホーム総合研究所編集・発行。昭和60年12月発行。「副題が「大物50人の自伝的家屋論」。「子育てに一家言あり―③」ともあるが、これは「ミサワ・チャイルド・ブックス」といふシリーズがあり、その3冊目といふこと。 大物の…