2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

塚本たし「仮に戦争で敗けたとしても、日本の将来にとってはその方が良いかもしれない」

『お題目と歩く 近世、近現代法華信仰者群像』(浜島典彦著、日蓮宗新新聞社、平成15年)は、江戸から現代に至る日蓮信徒の紹介本。全部で27項目。全部挙げると双葉山、中条静夫、山本昌広、美空ひばり、中村八大、岡晴夫、三遊亭円右、小林一郎、加治時次郎、…

お役人の猿芝居―高野隆文『祖先祭祀概論』

高野隆文『祖先祭祀概論』は昭和8年4月15日謄写、同20日発行。宣揚社が発行した100頁足らずの講演録。 題名からの予想を裏切り、祖先祭祀が如何に神社から遠いものかを講述したもの。そのために、十年二十年と論じても気違ひ扱ひ、異端者扱ひされて…

やまと新聞社長秘書の荒木孝次郎

『●(さんずい+貝)江』は平壌第一中学校同窓会の発行。第16号は昭和50年12月発行。p31から、大内軍一「恩師荒木孝次郎先生と私」が載ってゐる。 荒木は長野県上田市の生まれで、上田中学を卒業後、仙台二高を病気退学、國學院に入学。昼は国学、夜は…

朝食廃止聯盟(同志会)を後援する下位春吉

朝食廃止同志会の編になる『朝食廃止と新健康生活法』(昭和17年5月発行)は、西式健康法の西勝造が提唱した朝食廃止論をまとめたもの。 朝食廃止は奇矯な説ではない。後醍醐天皇の『日中行事』によれば「朝の御膳は午の刻なり」とある。今の昼食のことで、…

岩井大慧東洋文庫長「神風はいつも必ずしも都合よく、吹いて呉れるとは限りますまい」

『歴史公論』の2巻4号、昭和8年4月号は満蒙特輯号。 p106〜108と短いけれども、権藤成卿が「南淵書がどうして私の家に伝はつたか」を談じてゐる。 たゞ幾重にも了解して頂き度いのは歴代の伝写本が両度の洪水の為に水に浸り、扁だけあつて旁はない…

湯野川龍郎東京陸軍幼年学校校長「世の中にはそんなに悪人などと云ふ者は居ない」

狂信的天皇制ファシズムの基底部を構成する陸軍幼年学校に於いて、神懸り的好戦ファッショ思想は紅顔可憐な生徒の脳髄に如何にして強制注入せられたのであらうか。 さういふ人は『随感随筆』を読むのもよい。湯野川龍郎東京陸軍幼年学校校長の随筆を集録した…

頭山翁と寝たら布団が重くなった森敦

芥川賞作家の森敦に『星霜移り人は去る―わが青春放浪』がある。角川文庫で昭和54年11月に出た。元は『文壇意外史』の書名で朝日新聞から出て、初出は『週刊朝日』で昭和49年2月15日号から7月26日号まで連載されてゐた。 特に文壇の事情を知らな…

坪内逍遥の書き入れ本

『雄弁』の大正14年3月号を読んでゐたら、書き入れ本の笑話があった。 p109の「学界閻魔帳 門前小僧」の中にある「坪内博士と欄外書入」。 逍遥博士、あの激しくも凄じかりし関東大震火災のあと、我が家が僅かに事無かりしを知るや否や、たゞちに大八…

褚民誼「遠慮なく栄養の補給に来てください」

西川貞一『私のたどった道』(平成元年5月1日刊行)は価格も出版社の記載もなく私家版のやうだけれども、経歴や交友に見逃せないものがある。 著者は山口県選出の衆議院議員。終戦時は大蔵参与官として、政府の中枢にゐた。 最初は関門日日新聞(防長新聞の前…