2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

佐々木安五郎「西洋の学問が新しいと云ふが、こっちの方が余程新しい」

続き。漢学振興の議論では、佐々木安五郎(号は照山)も発言してゐる。大正10年3月の衆議院での審議。謎めいたドイツ人の行動から話を始める。 欧羅巴戦争が半ばなるときに、亜米利加を経て独逸に帰る独逸人があった、亜米利加人に託するに二重底の「トラン…

佐久間啓荘「『幼学綱要』は古本屋で販売すべき書物ではない」

読書の秋だから読書について。 『大東文化學院創立過程基本史料』は尾花清編著。大東文化大学人文科学研究所、平成17年4月発行。大東文化大学の設立に関はる史料を集めたもの。カタカナ交じりの速記録が多くてとっつきにくい所もあるが、学問の意義や読書…

『私の昭和史』の津久井龍雄の直感

『私の昭和史』は津久井龍雄著、東京創元社、昭和33年4月発行。平易な文章で奥行きのあることを語り、現代でも読まれる価値がある。分量も多くなく、復刊や文庫化の対象にふさはしい。内田百閒の随筆を愛読し、色紙には「言簡意深」と書いたといふのもう…

折口信夫から「ハクショ なんぬかす」の手紙をもらった高階廣道

やっと涼しくなった。 『橿の生』は高階廣道の歌集。奥付なく、あとがきは昭和32年2月7日付。父の高階研一は廣田神社、札幌神社、諏訪神社、皇典講究所、橿原神宮に勤めた。 廣道は大正14年1月生まれ。名前は廣田の廣、札幌神社のあった北海道の道か…