2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

万歳か弥栄か‐後藤武夫と筧克彦

『萬歳を嵩呼せよ』は20頁に満たない小冊子。昭和2年四月一日の発行。著者の後藤武夫は発行元の日本魂社社長と言ふよりも、帝国データバンクの創業者として名を残してゐる。 後藤は日本青少年団研究会会長も務めた。事の起こりは其の少年団の日本連盟諸規程…

「ネクタイ、ハッピみなこれあなたから受く」by鮫島純也

下積半人「無軌道恋愛記」は非凡閣の『実話雑誌』昭和六年九月号(一巻六号)所収。時の逓信大臣小泉又次郎の御令嬢、小泉芳江が実家を飛び出して恋人鮫島純也の下に駆け込むまでを描いてゐる。 実際の事件を基にしたのだらうけれども、脚色が多くて何とも言へ…

有松英義内務省警保局長「少しは手落ちもあらうぢゃ無いか」

『日本及日本人』明治42年11月号読む。来島恒喜追悼会の記事が載ってゐる。 でも今日は「文芸取締りの行衛」。捕風捉影楼が、検閲する側を訪問した記事(p95〜98)。 はじめは警視庁に、亀井警視総監を訪ねた。図書検閲係室に通されたが、そこには役人一人し…

御奉迎の態度‐検閲される満川亀太郎

『人の噂』昭和8年6月号に、月旦倶楽部第二十回例会として「日本精神の世界的昂揚」が載ってゐる。此の会の出席者は若宮卯之助・高須芳次郎・津久井龍雄・藤澤親雄・澤田牛麿・満川亀太郎・蓑田胸喜・森清人・西原亀三・崔棟ら。 満川が遭遇した、三大思想事…

正に罪穢天下に満つ‐田中治吾平の天下大修祓会

『神風』(大正13年8月1日発行、第439号)を読んでゐたら、田中治吾平の名前が。べた記事二つなので、目次には載ってゐない。 7月12、3日頃、記事の筆者である「鉄峰光」子の所に来電があり、16日夕方に二重橋前で修祓をする者があるさうだが誰が主催かと言ふ…

買はざるときは逆臣の如く‐皇室本の押売り

『神廼道』(神廼道雑誌社)は齋藤襄吉が発行する神道新聞。 大正五年十二月発行第64号に、杉浦鋼太郎国語伝習所主が「尊厳を笠に着る」を書いてゐる。内地から上海に諸商人が渡ったが、なかなか芳しくない。ところが神宮大麻を売る者は大人気で、みな十円は出…

所謂非国民之なり‐宮井鐘次郎の伊勢神宮奉賛会

『伊勢神宮奉賛会設立主意書』は約三十頁の小冊子。大正十四年一月十七日の発行。伊勢神宮奉賛会は三重県宇治山田市岩淵町二〇一番地に設立された。代表は宮井鐘次郎。 神宮の崇敬団体として戦前は神宮奉斎会があった。戦後の伊勢神宮崇敬会の旧名はやはり伊…