工藤茂三郎「天皇は即ち太陽なり」

 『日本之由来』は」工藤茂三郎著、中陽館発行、大正6年4月発行。17ページの小冊子。第1章「大日本之由来」、第2章「明道之要旨」からなる。 

 工藤は徳島の人。天児屋命の子孫といふ。独自の暦、中正暦で知られる。

 明治天皇五箇条の御誓文で「天地の公道に基づくべし」と仰せになった。天地の公道とは、天体の運行である。太陽は天照大御神である。

太陽は大神の霊体にして、時間は大神の行為なり、大神の行動は、日夜休止なく、宇宙に照臨して、釐毫の空隙を剰さず、 

 

太陽滅せば万物滅す、即ち太陽は高祖なり、天皇は天津日嗣なり、神人合体せる天皇は即ち太陽なり、神なり、

 太陽は休む間もなく働いてゐる。天皇は太陽の子であり、太陽そのものである。さうであれば太陽の運行を基にした暦も正しいものでなければならない。

暦本が大道に協はず、斉元の基に背ときは、仮令悪意に出でざるも、利己心に藉られて、国民皆な嘘偽を以て相交り、互に詐妄を以て非理に走るに至るや、明かなり、為政者は自ら嘘偽を以て上に立つて、而して人民に対し信を守れと云ふは、恰も遊冶郎が他人の品行を責むるが如し、

 暦が天地の大道にのっとってゐなければ、国民は嘘をつき、だまし合ひ、道理を無視することになる。政治家が嘘をついてゐるのに人民には信義を守れなどといふのは、いつも無責任な遊び人が他人の行ひを非難するやうなものだ。

 何事も太陽の運行により始まる。季節が巡るのも男女が子をなすのも太陽の働きがもとになってゐる。

 

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