


『ツキをよびこむ 縁起の本』は横井時常著、すずらん書房発行。昭和50年5月15日初版発行で手元のものは51年7月30日の5版。カバー装幀高橋雅之、本文イラスト上田武二。
手元のものは献呈の和歌付き。「吾が言葉校正もみずなりしふみ後の祭りとなやまし?…」と読んでしまひ、なかなか最後まで解読できなかった。
名前は時常と書いてトキヒサと読む。靖国神社権宮司などを務め、執筆時は近江神宮宮司。独自の神学の持ち主でもある。
内容は著者の縁起にまつはる随筆集。語源や解釈は著者独自のものも多い。
結論からいえば、〝悪い縁起〟はないのである。すべての縁起は〝吉〟である。
仏滅は本来払滅で、悪しきことを払ひ滅すること。最も縁起がいい日で、昭和天皇が昭和46年に訪欧した日も仏滅だったといふ。
横井自身の理想の葬儀も一風変はってゐる。
私の葬式は、祝いの〝祭〟にしてもらいたいと考えている。
まず、家に紅白の幕を張りめぐらし、みなさんに集まっていただいて、酒を大いに飲んでもらい、陽気にドンチャン騒ぎをしてもらおうと願っている。決して冗談をいっているのではない。
自分の好きな道を歩み、感謝してゐる。発行年の昭和50年には歌会始にも入選した。子孫も健康で、いつ死んでも悔いはないのだといふ。
読めなかった献呈署名は、ある日ふと読めるやうになった。「なやまし」ではなく、「阿やまり」であやまり、誤り。校正もしてないので「阿やまり多し」と詠んでゐる。