2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

新田進「米英思想に基くところの左横書運動」

『国民評論』は国民評論社発行、昭和18年6月号は第15巻第6号。蓮田善明と山川弘至の文章掲載号だが、表紙にはない。 新田進の「横書き思想」は左横書きの思想や運動に筆誅を加へたもの。縦書きこそが日本の正書法だと論じる。漢字制限もフリガナ廃止も…

黒子「おゝ、あれはスポーツではありません」

『婦人と修養』は婦女界社発行、「秋の増刊 小説と実話号」は昭和14年10月発行。扉には「慰問袋に是非本誌を」とあり、銃後美談、軍馬美談、白衣美談、前線美談が並ぶ。読んでみるとたいてい人や馬が落命する物語で、これでは士気が上がらないのではない…

手島益雄「動物愛護会で最も問題のあるのは馬であります」

『動物百話』は手島益雄著、昭和5年4月発行。東京藝備社発行。藝備叢書の第5編。 序は高島米峰。動物も仏性を持つ点では人間と変はらないとする意見を持ってゐる。人間が動物を虐待し殺戮するのは動物に対する知識が足りないからだ。「恐るべきは無知なり…

巽健翁「語呂こそ日本の言葉の神秘性であり特徴であるのだ」

「雛型大和』は巽健翁著、昭和23年5月、神奈川・大磯の大和文庫発行。印刷は長野県。棟方志功の装丁で、表紙だけでなく見返しも扉も手がけてゐて華やか。著者が独自の哲学や世界観を論じたもので、日本語の奥深さを伝へる。巻頭の言葉に曰く 敗戦後、反動…