時宗神社創建の賛同者たち

 『元寇完遂 時宗公の忠誠』は鈴木隆著、時宗神社創建会、昭和18年1月発行の冊子、非売品。鈴木は創建会理事長。
 鈴木は元寇から日本を守った北条時宗を祀る神社を創建すべく奔走。阪本広太郎考証課長からも協力を得て、時宗公に関する資料を集めるやう助言される。そこでまとめたのがこの冊子。
 時宗公は勅裁を受けて行動したこと、明治天皇時宗公を従一位に叙したことを述べ、時宗公の忠君愛国精神を強調してゐる。
 鈴木は昭和17年2月以来、朝野の名士600余人を訪問、弘安神社(仮称)の創建を訴へた。その返答の一部として18人が列記されてゐる。すべて大賛成の意見ばかりだ。
 「別格官幣社を目標に」(林銑十郎)、「全国民が後援しなければ」(四宮憲章)、「まだ祀つてありませんでしたか」(有馬頼寧)、「講演でもやる時は何時でも出ます」(中野正剛)「早く書類を出して審議してもらふがよい」(水野錬太郎)。
 鈴木孝雄は

私は靖国神社宮司でありますから、発起人には何処へも名を出さぬことにしてゐます。しかし時宗神社だけは当然過ぎる程当然でありますから、進んで発起人に署名します。

 とし、藤原銀次郎も同様に、進んで署名すると言ってゐる。
  鈴木隆の住所は大船のやうだが、どこに建てるつもりだったのだらうか。