2014-01-01から1年間の記事一覧

梅津勘兵衛「あなたは正しからざる方法によって生計を営んでおられる」

『茨と虹と 市村清の生涯』(尾崎芳雄、実業之日本社、昭和44年)は、三愛創立者、市村からの聞き取りをもとした伝記。三愛とは「国を愛し、人を愛し、勤めを愛する」こと。升田幸三と中村メイコが推薦の言葉を寄せてゐる。巻頭では銀座三愛の発足披露で高松…

林房雄「児玉誉士夫は天才」

『燃えよ祖国』の平成16年6月号(通巻131号)に、山平重樹の「評伝児玉誉士夫」第三回が載ってゐる。そこに、昭和44年12月6日にホテルオークラで開催された児玉作詞「民族の歌」発表会のことが記されてゐる。出席者約二千人。なかには岸信介、萩原…

須田町食堂の加藤清二郎は和製ムッソリーニ

『人の噂』は昭和13年4月号(第9巻第4号)になってくると、判型も小さくなってくる。 この号の犬飼喜七「財界立志伝」は、神田須田町食堂主人の加藤清二郎の訪問録が載ってゐる。須田町食堂は評判の大衆食堂だった。犬飼は貧乏学生時代、「須田町食堂のカ…

鈴木天眼の見た高場乱

『活世界』は天眼鈴木力が編集してゐた雑誌。硬い政論記事が多い。その明治24年4月号に、鈴木の高場乱評「人参畑の先生」が載ってゐる。 鈴木の玄洋社社員評に「木綿の糸一筋を以て大山を引張る事さへ。平気に手掛ると人に言はるゝ奇雄頭山満」といふのが…

松山天爵子「日曜休暇廃すべし」

『陶化新誌』は神宮教の鶴岡教区の機関誌。明治24年7月発行の第三号に松山天爵子こと、編集人の松山真中が「日曜休暇廃すべし」を載せてゐる。 耶蘇の真似をして日曜を休むのはけしからぬといふ論だ。 官公庁が日曜に休むやうになったのは、明治9年3月…

受刑者用の書籍寄贈運動

刑務協会の『月刊刑政』昭和24年6月号は水守亀之助や玉川一郎、伊福部隆彦も書いてゐて、肩の力を抜いて読める。 詩人の竹下彦一が「愛書家」といふ随筆を書いてゐて、これがマニアぶりを告白してゐる。曰く「この頃のインクの匂いは鰯の匂いのようなのが…

佐々木照山の元に寄宿した岩田愛之助

中公文庫の『小原直回顧録』が積ん読になってゐたので、何故手元にあるのか見てみたら、阿部守太郎政務局長暗殺と大隈首相暗殺未遂の項があるからだったと思ひ出した。 大正2年9月5日の阿部政務局長暗殺は、共に福岡出身の岡田満と宮本千代吉が実行した。…

囚人も読んだ『教育勅語道話』

『日新更張 回顧録』(昭和30年2月発行)を書いた石倉常吉は、鹿児島は内之浦の出身。明治17年8月生まれ。後妻に顕本法華宗の本多日生の長女、月子を迎へ、東京での隣家が井田磐楠だったりしたが、殆ど無名の人物。 ところが読んでみると、本の外交を仕…

天皇教の信者だった大達茂雄東京都長官

『追想の大達茂雄』(昭和31年11月刊)は大達茂雄伝記刊行会刊行の非売品。刊行会は警視庁警備部長室長気付になってゐる。 大達は福井県知事、東京都長官、昭南(シンガポール)市長、満洲国総務庁長、文部相などを歴任した凄い人。 写真も多く、煙草をのん…