大阪を破壊し名古屋を壊滅させる長岡外史

 『飛行界の回顧』は長岡外史著、航空時代社発行、昭和7年12月発行。8年1月再版。装丁は長女の朝吹磯子。空を飛ぶペガサスが一面に描かれてゐる。

 著者の日頃の主張や回顧録衆議院議員としての行動をまとめたもの。飛行機の重要性から防空思想や都市計画などにまで及んでゐる。

 大阪で講演したときは、「私が日本攻撃軍の総司令に任ぜられたとすれば」と仮定。その時は大阪を攻撃するだらうと宣言する。

開戦即日に先づ大阪を根底的に破壊する。而して其の序に京都を焼き払ひ、敦賀大阪間の鉄道電信電話等交通通信機関の要所を爆破して全然日本国を両断して仕舞ふ。此の方が東京全滅よりも、日本に与ふる損害並に脅威が遥かに多いからである。

 大阪の道路や町並みは敵襲に弱いからこんな事態になるのだと警鐘を鳴らし、大阪空襲を具体的に想定する。

 名古屋の被害を予言した文章も収録されてゐる。名古屋の洋館に、ある老人が住んでゐるといふ設定。

世間では飛行機気狂ひと呼び、法螺吹きと嘲ける程ありて、家そのものが既にそれを裏書きして居る。

 その洋館は防空対策を徹底した建物だった。4階のうち2階が地下。窓は小さく少なく、二重にして守られてゐる。毒ガス対策で強力な扇風機も備へてある。

 名古屋は昭和4年7月19日、敵の攻撃を受けて壊滅する。

 さしも殷賑繁栄の中京は、此の日、根底的に滅亡した。殊に旧名古屋市内には、人畜虫ケラの類まで、爆殺焼殺せられて、一人も一疋も、残らず無い。地形も全然爆破せられて、旧態を失ひ、一木一草も留め無い。

 独此の中で安全無事なのは、妙な家だと嘲けられて居た、老人のみである。併し老人の先見に感服するものは無かつた。それは総ての者が皆死んだからである。

 なぜこんなことになってしまったのか。長岡は名古屋の防衛上の欠点、爆弾や毒ガスの恐ろしさを説明し、速やかに対策を立てるやうに促してゐる。

 

 

 

リボルバー・リリーは大正時代を描いたガンアクションムービー。洋装だけでなく和装の場面もあり、ミニーCタチバナを髣髴させるものがある。