神道も忍術も学んだ鈴木康哲

 『ご縁に生かされて』は鈴木康哲著、高輪出版社、平成8年12月発行。非売品。公的機関の所蔵不明の希書。巻頭のカラー写真ページは自身の結婚式や娘のバレエの様子、社員旅行など個人のアルバムのやう。文章は6割が会社員時代のもの。そのほかの部分に神道古武術、忍術を学ぶ記述があって面白い。

 鈴木は昭和9年4月、東京生まれ。22年、神道行者、岡田利正大教正に師事するやうになる。きっかけは「ふとしたご縁で」としかない。神道の行法・秘事を学び、木曽御嶽山での滝行や修祓の写真もある。神道大教神社本庁の両方で神職資格を得た。同期に靖国神社の湯澤貞宮司霧島神宮の高橋弘平宮司がゐる。将来は神職古武術指南で世を送るつもりだった。

 大東流合気柔術のほかに興味を持ったのが忍術で、卒論も忍術。団体行動の甲賀よりも単独行動の伊賀が好きで、毎年のやうに上野に出かけた。手裏剣や鎖鎌にも魅力を感じた。手裏剣を両目に打ち込む秘伝があるといふ。資料も収集し。集めた伝書の写真も載ってゐる。

 宗教についてはオウム真理教事件の影響で一旦は書くのをやめたが、出版社に勧められて追加章を執筆。各種の神縁・仏縁に感謝する。宇佐神宮では二拝四拍手一拝で、ほかの神社より二拍手多い。

この四拍手のうちの二拍手は、明らかにご祭神以外の各神殿後方部分におられる位の高い神々に対してのものであり、神宮にはその意味が伝わっていないようである。

  と、最高級神のための二拍手だと指摘。神殿が前後二つ屋根の造りになってゐるのも、後方部分に最高級神が控えて居られるからだといふ。

 他にもキリスト教系の教団で四柱推命を学んだとか、社内報に忍術の連載を書いたなどとあり、幅広く活動してゐる。