新聞記者が協力した『東京横浜夜をたのしむ店』

 『東京横浜夜をたのしむ店』は立川談志著、有紀書房発行、昭和41年8月発行。42年12月に8版発行。装幀は山形大三。

 談志が著者となってゐるが、自信をもってゐるのはキャバレーぐらゐ。そのほかの店については新聞記者に声をかけて情報を集めたとして、5名の名前を挙げてゐる。

銀座・神田周辺、新橋周辺、新宿周辺、上野・浅草周辺、渋谷・五反田周辺、大井・蒲田周辺、池袋周辺、中央線沿線、総武線沿線、浦和・大宮周辺、川崎周辺、横浜周辺、と11地区ごとに区分。バー、キャバレー、美人喫茶、旅館、花街、トルコ風呂、ストリップ、深夜レストランなどを案内する。

 料金や接客ぶり、内装、客層など詳しく、情報量が多い。飲食店の紹介もある。末広町には蛇料理の店。

肝と生血はブドー酒割りで飲むが、あとは、刺身、蒲焼、ツケ焼、バターいためなど、このみに応じて料理してくれる。一品料理では蛇のミンチ・ハンバーグ、串団子、フライなどバラエティに富んでいる。

 新宿では靴磨きやおでん屋を利用すれば女性と出会へるなどと指南する。上野には朝鮮料理が17軒並んだ場所があり、焼き肉、スッポン、漬物、馬肉の店を紹介する。花街の紹介では芸者の小さな顔写真も掲載。みな日本髪で、大きな髪飾りをつける。

 池袋のある店の紹介など、実体験を反映させたやうな書き方。

調子づくと商売そっちのけの大サービスをするという話。とくにひまな二十日過ぎの、雨降りの晩にでもいくと、とにかくこたえられない。

  「ナイチンガール」は看護婦バー。聴診器やさまざまな器具が用意され、大人のお医者ごっこができる。