川面凡児「一切人類総て神の子であります」

 『宗教大観』は宗教大会事務局編纂、長野市の仏都新報社発行。明治41年9月発行で手元のは10月の再版。再版には倉嶋元弥や子供時代の倉嶋至らの写真もある。仏都新報は元弥(号は鬼成)が3年前に創刊した。仏都とは善光寺のある長野のこと。
 この中には宗教大会開催にあたり、神道、仏教などについての識者の論説が多数載ってゐる。
 通俗仏教新聞主筆の高田道見は

我が畏友の川面凡児氏が、日本神道の振るはざるを憂ひ、全神教趣大日本世界教といへるを宣言発表し、着々として自己所信の主義を拡張しかけられた

 と畏友、川面凡児に触れてゐる。
 その川面の口演、「大日本世界教略義」が載ってゐて、川面の教えが表明されてゐる。

 吾等日本民族は、いかに光栄ある民族よ昔昔の昔よりして、宇宙の大根本を解釈し、之を尊びて 天御中主大神と名け奉りこの大神の活動の体たる天地万有をば、八百万神と尊称すると共に、人間をも、直にその八百万神の一に加へ、生れながらの神としてある

 人間と別に八百万神といふものがあるのではない。また八百万神は日本だけにゐるのではない。世界中の人間も、天地万有も神である。

 日本民族は、基督は勿論、世界列国の預言者を悉く宇宙根本の発顕体として、八百万神として、敬意を表し、其徳を賛美するの宏懐雅量あるものであります。

猶太一国が神の国でなく、基督一人が神の子でもない、世界列国悉く神の国也、一切人類総て神の子であります。

天御中主大神又の名はヱホバ、又の名はイラー又の名はゼウス、又の名はゴダ又の名はペルース又の名は仏、又の名は上帝の嘉納を蒙り度き者に御座候。

 このあたりの神学は谷口雅春につながるものがある。