マッチーが読んだミッチーダイアリー

 先月と今月号の「レコンキスタ」に、松本健一内閣府参与・麗澤大学教授の講演録が分載されてゐる。「雪の二・二六」といふ題だけれども、瓢亭五百木良三についての話が多い。五百木は『日本及日本人』社長。三宅雪嶺らが分袂した昭和4年就任、同12年没。

 その五百木の名が『満川亀太郎日記』にあることや、満川が一番親しかったのが北一輝中野正剛だったことを指摘してゐる。

 松本参与、以前は週刊新潮の「掲示板」でも瓢亭についての情報を求めてゐた。回答を見た覚えはないが、最近一番気になる人だといふのはわかる。レコンに戻ると、正岡子規とも親しかったので「坂の上の雲」に出てもいい筈なのに抹殺されてゐる、これは瓢亭が国体明徴運動をして頭山翁らと並んで写真に写るやうな人物だったので排除されたのだといふ。

 なるほど興味をそそられる人だ。


 もう一つ。読売新聞の渡邉恒夫(ママ)主筆と昔からの知り合ひだとちらっと書いてある。それで思ひ出したことがある。松本氏が放射能汚染の舌禍を惹起したときに、読売だけは舌禍記事と同じ一面の三八広告に、松本氏の新刊広告が載ってゐた。人間と歴史社の。その時はなんと不運かと同情したけれども、あれはわざとだったのか。なかなかの宣伝効果だっただらう。

 瓢亭の追悼文を書いた佐藤紅緑に話が繋がって、紅緑がサトウ・ハチロー佐藤愛子の父で、新聞「日本」の記者にして瓢亭の同僚だったことを紹介。しかしこの講演録、紅緑がすべて紅録と誤記されてゐる。次の縮刷版では直されるだらうか。

 誤記といへば最近届いた五反田展目録。p36に

 大大翼史 函 荒金升水  一万二千

 
 とあって目がテンになる。もう原型をとどめてゐない…。


 刊年欄が空白なので、増補版でない通常版の方ですね。