毎日日誌を書けと厳命される

 『「図書館誌」にみる駒大図書館史【その3】』(駒澤大学禅文化歴史博物館大学史資料室、平成20年1月)より。

 世にも珍し大学図書館の司書の日誌。しかも宗門大学。公的なものなので、日記といふより日報といふ方が近い感じ。【その3】は大正14年から翌年前半まで。ちなみに昨年出た【その6】で終はり。


 何々が寄贈されたとか、何処何処に出張とか淡々としてゐるが、たまに変なのもある。

 大正14年10月23日。

 

予が毎日日誌をものさないのを知られたものか、館長より来館毎に日誌の提出方を命ぜらるる、多忙の処へまた一仕事増加、尤も大体は毎日何かに控へ置き暇を見て記載はして居たが斯かる厳命に接すると何だか苦しさうに覚ゆ

 なぜかわからないが同情する。しかしソモソモ恒心なければ恒記なしなのでこればかりは如何ともし難し。

 閑話休題、この司書さんは東美倶楽部とか一誠堂の古書展とかにも行って買い付けてゐる。今は予算と時間の関係で厳しいのでは。

 他には

 

前万朝報社長山田藤吉郎氏より万朝報明治廿七年以来大正十二年迄の分一九五冊特別号三十三冊、及び新聞総覧等六十九部百○八冊を取纏め寄贈せらる(大正14年6月廿九日)

 とか

 

世界成全社より「世界大系統行為と世界大系統学」と称するものを一部寄贈せらる、書名丈け聞くとどんな立派なものかと思ふであらうが極めて貧弱なパンフレツトに過ぎない(同年10月6日)

 など言ふ記述もある。