精神研究会地方委員だった補永茂助

 

『精神療法案内書』は古屋鐵石の設立した精神研究会の冊子。大正9年2月、20ページ。表紙には明治天皇御製を8首掲げる。人の心の大切さを説いたもので、天皇の権威を借りて、会が怪しくないものであることをアピールしてゐる。右に「生活安定の道此書に在り」左に「精神向上の道此書に在り」とある。

 生活の安定とは、「相当の益収あり」「精神療法家として高給にて招聘せらるゝ便宜あり」と説明するやうに、通学や通信授業で精神療法を学んで資格を取れば収入があるからだといふ。

 

精神療院長となり人を救ひ世を益さば、求めずして其人は富み栄え、物価の騰貴も苦にならず、生活は安定され精神は向上せらる、 

 会の健全さを強調するために、国民道徳の大切さも訴へる。精神研究会も、国民道徳会の中にあることになってゐる。

 

国民道徳の観念が主とならずして之を教授し、冶療するもの若しあらば、其教授治療は百害ありて寸効なし、 

 裏表紙の左右には「本会報告の実験に反する説は多くは詐欺師の偽言也」「本会主張の学説を無視する説は多くは山師の虚言也」とある。中の見開きの左右にもすべて同じ文言があって、かへって胡散臭い。 

 教へる精神療法は24種で、心霊術療法、気合術療法から稼働無想療法、慰藉歓楽療法まで多種多様。

 本会卒業地方委員として大きく11人を挙げ、富岡定俊海軍中将男爵に続いて補永茂助文学士もゐる。会員数万名のうち、地方委員は2060余名におよぶ。

 

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明治神宮のデータベース、行の会に頭山翁など、藤沢親雄は菊の会を斡旋のみ。三島由紀夫の項はギシかロウシかで言ったらロウシの感。