『続馬鹿鳥の声』岩村俊武

 『続馬鹿鳥の声』岩村俊武、冨山房昭和18年3月20日発行、木村百木装幀。肖像に頭山・徳富両翁の賛。

 どこを読んでも面白い。巻を措く能はず。

 朝倉尚絅と、琵琶湖の奥島の長命山の天之御中主大神に関わる岩を見る。

 日露戦争勃発時に第三艦隊先任参謀。旅順港。軍艦春日副長。軍艦鹿島廻航委員。ルーズベルト大統領と会談。煙草を呑んで平野水。

 P20艦には犯件簿といふものがある。悪いことをした人物を書くが、兵隊が立派で白紙のまま。

 昭憲様の前で二〇三高地の模様言上。

 日清戦争で海軍大尉。威海衛で水雷攻撃隊の一員。

 毎早朝読み上げる船堂今経「…われ等の自由になるものは唯現在の今ばかり。今こそ実に大事なり。今ぢや今ぢや今今今。…」。今宗の行者。

 創作「腸と胃の問答」。逗子で海老を食べ過ぎるので懲らしめたら胃癌と疑ふ。

 長男英武、学習院首席。大正8年東京帝大文科入る。中退し昭和3年8月28日29才で没。次男和雄、パリに八年。ソルボンヌ大学通学。ステージダンス。宝塚で音楽葬。(ネット上と異なる。どちらかが兄弟を混同してゐる)

 伊地知彦次郎中将追憶。海軍中佐稲葉宗太郎君。岩村透追憶談。坂本嘉治馬君を憶ふ。

 團貫鐵宗は明治17年海軍兵学校の同級。團は團次郎の旧名で岩村、貫は鈴木貫太郎、鐵は佐藤鐵太郎、宗は稲葉宗太郎。

 最高齢の百十翁こと伊藤東一郎と富士登山。頂上で新聞記者と悶着。青山の果物屋「紀文」主人夫婦と同行。その言ふやう、病気の次男を筑田多吉海軍特務大尉に診せて全快。


 小金井在住の小池新二文学士夫婦と日本アルプス。近所に住んでる加藤典雅といふ仙人に東京朝日が取材。

 木村画伯と越後・会津へ。河合継之助の姉の息子の根岸練次郎は郵船会社ロンドン支店長84歳。主人秘蔵のアトリの塩辛。フランス文学の山田珠樹、大阪毎日の石川欣一、大町の対山館に。

 満洲旅行、頭山徳富陸海軍大将の壮行会。藤井行勝見送り。