序のこと

 昨日のこと。『漁夫歌人糟谷磯丸』夏目隆文、時代社、昭和18年12月10日印刷、13日発行。300。磯丸は江戸後期、三河国渥美郡伊良湖崎村出身の歌人。不明にして今まで知らなかった。全集もあるとか。
 
 雲のうへもしづがふせ家も行かよふ心は同じことの葉の道

 日の本の神の御末の人なればわが身ながらもたのもしきかな

 装幀河野通勢。序文は新村出。その中に曰く「非凡を賛美するために凡庸を棄てたくなく、傑出を貴ぶあまりに平分を蔑ろにしたくない」「比喩が当らないかもしれぬが、一将の功をなさしめつつ、萬骨をして枯らしめずに共栄せしめたい」。

 一昨日は『創造日本学概論‐天皇帰一の哲学』石丸梧平、人生創造社、昭和18年4月20日初版発行。300。

 石丸氏のもの、普段はパスするが他著書より一等日本精神熱高いので。著作生活で最も苦心と熱とを盛り上げたとか。主人と門弟数人の問答体で國體を説く。機関誌も『人生創造』ではなく『日本的教養』に改題されてゐた。あれこのタームって…。p56「(ノートを終つて、青年らしい昂奮を以つて叫ぶ)先生!よくわかりました」まるで「さうだつたのか!日本の國體」だ。
 
 序は奥村喜和男情報局次長。その中に曰く「石丸氏の著作は、自ら進んで之を読んだことがあるが、近来は同氏からその主宰するところの雑誌を毎月寄贈される…同氏の主張には共感する処が多い」「近時、日本精神に関する著述は非常に多くなつたが、その表現が如何にもむつかしくて、折角の内容も読者の胸に浸透しないうらみがある。その点からいふと…さすがに著作生活三十五年・表現の老巧さを遺憾なく発揮してゐる」

 しかし序文て書誌情報に含まれないのか。著作権とかどうなるのか。

 昨日杉並の角川源義展。ゲンヨシと重箱読み。奥の一室で開催。のちに販路になる國大入学の機縁も、角川文庫の発刊のきっかけも古書からとか。その割りに今はさういふイメエジないけれど。二階で平成20年の渡邉錠太郎教育総監の末娘の方の講演映像。90分最後まで見た。