頭山翁を顧問に迎へた東光会

 『東光会会報』第1号は刊記なし。設立趣意書は昭和7年10月、経過報告では8年1月末に、2月中に会報を発行するとある。
 東光会は東京に居る、経済的に困窮してゐる朝鮮人を支援するための団体。日本人と朝鮮人の内鮮融和が基調になってゐる。会長・財政部長は斯波貞吉
 顧問は日本人9人。頭山満、南拝山、四宮憲章、足立栗園、山岡万之助らが名を連ねる。朝鮮人に職業を紹介するため、会を宣伝し、社会的信用を厚くしたい、と述べてゐる。頭山翁らを顧問に迎へれば一目置かれただらう。
 設立趣旨については金承煥が説明してゐる。金によれば、このやうな融和団体は200もある。しかし中には看板だけ掲げて活動してゐないところもある。

大概は飴屋の親方とか土工の請負の連中で社会が何んだか国家が何んだか理解出来ない者何々会とか看板を掛けて羊頭狗肉的行為を為して直ぐ大衆を売つて自分の商売道具にする夫れで私服を肥やしたり自家勢力を拡張するが如き事が多いのである。

 当局の補助を融和団体が悪用し、私服を肥やしたり売名したりしてゐる。現代の貧困ビジネスのやうなものだらう。
 今後の計画では幼稚園部の設置も謳ってゐる。子供のうちから一緒に暮らせば、内地人と朝鮮人との民族的偏見も自然消滅する、と期待してゐる。



・「『どこにもない国』とかけて狭い浴室とかけます」「その心は」「すごいはんきょうでしょう」。