児玉誉士夫出版記念会の出席者たち

 以前、帝国ホテルで開催された児玉誉士夫『芝草はふまれても』の出版記念会のことを少し書いたけれど、もっと詳しい記事があった。
 昭和31年5月15日発行の『週刊読売臨時増刊 現代奇人怪物読本』は、グラフ頁は大藤信郎。近藤日出造が北村さよ、徳川夢声が橋本凝胤、青地晨が間島福、伊藤逸平が谷内六郎辰野隆熊谷守一について書いてゐる。
 それぞれ近藤日出造または清水崑の似顔絵がついてゐる。御手洗辰雄の久原房之介伝には近藤が描いてゐる。集中線がいい。黒い旗は極東共和国の意味なのだらうか。
 三鬼陽之助「男一匹‐児玉誉士夫」の絵は清水崑
 三鬼自身も出席した2月28日の出版記念会だが、小見出しに「ゲテモノ集まる」、本文に
「一種のゲテモノ―変り者の集会の観を呈していた」とある。

主な顔ぶれは政界では三木武吉大野伴睦石井光次郎、花村四郎、平塚常次郎大久保留次郎太田正孝、青木一男、財界では島田勝之助、新関八洲太郎、田辺武次、萩原吉太郎、石河幹武、市村清、藤井丙午、小泉幸久、新倉文郎、大坪徹心、旧官僚、旧軍人では安倍源基、太田耕造、高橋三吉、四王天延孝、作家では尾崎士郎林房雄、評論家では御手洗辰雄、山浦貫一津久井龍雄、それに法務次官岸本義広、検事長花井忠、相場師の山崎種二、近藤荒樹の顔もみえ、

 そのほかに伊藤斗福、女性では大西瀧治郎夫人、笹川良一夫人がゐた。
 三木武吉は挨拶で

「ワシは児玉君が好きである。かわいくてかわいくてたまらないのである。児玉君の顔は、わたしの郷里讃岐でとれる大師イモに似ている。しかし無愛想な格好のイモは三度三度食べてもあきず、尽きぬ味がある。児玉君はこういう男だ」

 と絶賛。ダイシヤイモといふのが何だか分らなかったが大師イモのことで、これはジャガイモの別称らしい。普通はジャガイモのやうな顔ではけなし言葉だけれども、この文脈なら褒め言葉になる。