毎週日曜日は神社でオタケヒ















































『祖宗遺訓 平和の誓』(荒深道齊、純正眞道本部、昭和12年12月)の特色は、最終章、「雄誥の振興」にある。大声で発声するオタケヒは、太古から迎福撃魔に用いられてきたといふ。

 皇軍の敵を突撃する時には必ず大声が発せられます。陛下の行幸の時にバンザイを唱ふるのも感極まつて自然に発するオタケヒであります。実に吾皇国日本人特有の精神発露の声でありますが、相当の練習を積まねば真正なるオタケヒとはなりません。

 ところが、「完全な修得は筆紙口舌のみにては伝へ難」い。文字や口伝へでは完璧にマスターできない。そこで荒深が結成したのが皇民オタケヒ会である。主意書によると、

日曜日早朝を期して最寄々々の神社に参拝して其境内に於て、オタケヒ発声を三十分以内宛練習をなしたいのです。

 「左記へ御一報下されば指導者を派遣致します」として、兵庫県西宮市と東京の連絡先を記してゐる。
「純正眞道の目的」にも、

眞正なる日本国民の本分を尽すには一切の雑念を去り、絶対健康を保つを先とす、依つて寸暇を利用して祖道による眞澄呼吸を修練す。

 また「公休日又は余暇を以て同志会合」ともある。これによってみるに、呼びかけ対象は、平日に働いてゐる会社員などだったやうだ。オタケヒの修練は毎日でなくてよく、休みの日にすればよい。「高い声を発するのは実際心持のよいものです」ともあり、心身の健康増進に役立つとしてゐる。
 荒深は気持ちの大らかな人だったやうな気がする。