桜澤如一「何と云ひ様のない荘厳な宴会になります」

 続き。同号には、みくに同人の松野重正と、新興生活館常務理事で修養団総務の岩田軒造の息女との結婚式の様子も報告されてゐる。これが一風変った式で、「日本精神と基督教との融合せる理想的の形式」「食養会式の理想的料理、神ながらの献立」。

 具体的にどのやうなものかと言ふに、「よろこぶ湯」こと、こぶ湯はカリウムやナトリウムや無機塩類を含み、古来から宴に用いられたもの。「おむすび」は玄米で、宇迦之御魂から繋がるもの。
 

これは必ず一口毎に八十辺乃至百二十辺噛んで頂かないと真の味が分りません。これを実行するとおしやべりが出来ませんから、何と云ひ様のない荘厳な宴会になります。

 これにつける胡麻にも気を遣ふ。当時大いに出回りだした満洲胡麻は安価だが、白胡麻に着色したもので水に浮く。短命多病になる。一方食養会胡麻は「しづみ胡麻」といひ、ちゃんと水に沈む。

 鯉こくは恋濃くに通じ、うろこも骨も食べられるやうにしてある。
 料理全般に砂糖を用いないのも食養会風である。

 式次第には、古事記と聖書の朗読、賛美歌、御製朗読、三陛下万歳がある。