日共の潜行幹部を追った日本民族研究会

 『日本旬報』2号は昭和26年7月25日発行。記者同人出版株式会社発行。本文34ページ。巻頭の5ページが桂洋介「動き出した極右団体 共産党に体当り戦術」の記事。

 朝鮮戦争が勃発して、右翼の活動も活発になってきた。その中でも注目の団体を紹介してゐる。東京の日本民族研究会は会員数こそ80人だが、「ほかの類似団体のそれとは全く比較にならぬ粒選りの士」。獄中の伊東ハンニを救出し、その弁舌と演技を利用しようとしてゐるのだといふ。

 同会は特審(公安調査庁の前身)から資金を受け、日本共産党の潜行幹部を追ってゐる。最近北海道の独立青年同志会と提携した。北海道の共産党デモと100人の青年たちが衝突したのも、日本民族研究会の活躍によるものといふ。

 独立青年同志会はもと石原莞爾の東亜連盟の系列で、数百人を擁する。朝鮮人100人と少数の華僑も参加。汪精衛系の華僑などから資金をもらひ、反共を叫んでゐるといふ。

 九州では「祖国期成同盟」「士風会」「クラブ若葉」の3団体を挙げる。いずれも共産党のデモと衝突し、新聞にも取り上げられた。一番過激なのは士風会で、地元も信頼や期待をしてゐる。異色なのがクラブ若葉で、会員の3分の1が女性。その大半は東京の高校や大学を卒業し、理論闘争を得意としてゐるといふ。