皇国飛行協会の役員たち

   大隈重信会長の帝国飛行協会は大正2年創立。それとは別の「皇国飛行協会」の実態がよくわからない。「皇国飛行協会設立趣意 空界防禦の振興を誓ひ関門なき国民の覚醒を促す」を見てみる。所在地は芝区の憲政会本部前。江戸時代に林子平が海防を論じたことに触れ、空の守りを充実させることを説く。本部役員の名前が多数挙がってゐる。軍人らしいがあまり馴染みのない名前が多い。顧問9名の中に、頭山満内田良平上杉慎吉田中弘之と、いはゆる国家主義者の名がある。

 協賛者には賀茂百樹、正力松太郎ら。他に北海道関係者が複数ゐる。これは事業の第一目的に、北海道に飛行場を設立することを掲げてゐるからだらう。乗客・貨物・郵便輸送のほかに森林監視、航空写真、天体観測、医療救援、遊覧航空など、幅広い。

 大正12年の関東大震災に触れてゐて、昭和4年没の上杉の名があることから、その間のものと推定できる。

f:id:josaiya:20201108201408j:plain

f:id:josaiya:20201108201445j:plain