谷村金一「実に戦慄すべき有様が、繰り返されて居るのであります」

 『対生物戦への兵器の整備 熱は生命線守備の第一線』は谷村金一著、大日本健康増進協会出版部発行、文舟舎発売、昭和10年8月1日納本。

 序は警視庁防疫課長の井口乗海、浅田礼三陸軍中将、柏木正文海軍主計中将。井口曰く

 

顕微鏡下の世界のニウスが、新聞紙によつて不断に報導される状態にあつたら、防疫陣の指針となり、又良き参考資料として有益な事であらう。

 

 谷村金一は大日本健康増進協会代表者。生物戦への備へを十分にすべきだと訴へる。ここでの生物とは細菌など目に見えない生物のこと。谷村も報道の重要性を強調する。

 

上海の市街戦、北満の生命線死守に活躍奮闘の戦況を、活動写真で報導される事は誠に意義があり、待ち遠くて何を措いても見に行く。その戦ひよりも、実はもつともつと劇しい、吾等の生命を襲撃して居る生物戦の戦況も、報導の仕方によつては、確に意義あるニユースであります。

 

  

対生物戦は、実に昼夜の分ちもなく、四季の定めもなく、赤十字の旗印も役立たず、実に戦慄すべき有様が、繰り返されて居るのであります。 

 

  対生物戦の戦法としては、熱・光線・薬液が有効。谷村自身は長年、シャワーや乾布摩擦などで棕櫚タワシを用いることを続けてゐるので健康体だといふ。

 太陽光線は万物を生み育て、細菌も死滅させる。その効能への信頼は宗教的境地にも達してゐる。

太陽は正しく一つの信仰であり、宗教である程に、神に礼拝すると同じ気持と敬虔の念を以て、日常之に親しみ之を拝し、我魂と結びつける、神人合一の境地に精進したら、健康の階段を昇り切つて、天空快闊恰も富士山の天辺に、突立つた境致が開ける事であらう。 

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・実在しない。

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