原田稔甫「握飯は立体の日の丸である」

 医道社の『医道』は昭和9年1月号が第6年第57号。医道社は三則の一つに「皇国伝統の医学を復興し…『国家治療』の実現」を掲げる。主幹に就任した原田稔甫の新年の辞は、おむすびを礼賛する。

 赤き梅干を白き飯で包んだ握飯は、平面の日の丸旗に対し立体の日の丸旗である、之を愛撫し之を尊重し之と起臥し之と進退し、…

  梅干しの握り飯をなでて、尊重し、寝ても起きても進むときもしりぞくときも一緒で、握り飯のことを思ってゐれば、立派な功績を残すことができる。

 続きを読むと、原田主幹がなかなかの国粋家であることがわかる。日本の山をアルプスと呼んだり川をラインと名付けるのが不満。皇紀を使はずに耶蘇降誕紀元を用いるのも国家精神を危ふくする。以前の志士は着物で外国を歩き回った。今のやうに名字と名前を逆に書くこともしなかった。国風の真髄に反するものは断じて排すべきだと主張する。

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