藤沢親雄「スメラクラシーは英語辞典にも採択されよう」

 『皇室と国民との基本関係の現代的再認識』は藤沢親雄著、昭和36年7月、日本青年団体九州連合発行の冊子。

 前年の風流夢譚事件、山口二矢事件などを受けて、左右の衝突が起こりつつあると指摘。

右翼とか左翼とかいう相対的な党派的差別を超えて現代人の誰でもが合理的に納得できるスマートな「皇室論」と「国体論」とを理論化すべきである。 

 藤沢自身は、研究の一端を「ムスビズム」「スメラクラシー」などの用語で解説した。

私は神道の具体化である君民融合の国柄が、人間の考え得る最高最大の高貴なる「芸術品」であると信じて居る。(略)私はこれを英語で「スメラクラシー」(sumeracracy)と表現してみた。この言葉は「スメラミコト」から思いついたもので、やがて英語辞典にも採択されよう。 

 ところでこの冊子の発行元は福岡の日本青年団体九州連合、略称青年連合といふらしいが、聞かない名だ。青年連合の目的綱領に「党派を超え、宗派を超え、団体の利害を超えて、真に国を愛する青年の全国的な結集」をはかるとある。所属団体に全国師友協会、神道青年会、新日本協議会、生長の家青年会…以上各団体の有志とある。団体は著名な全国組織だが、そのなかの個人が集まったやうに読める。のちの全国的な保守団体とのつながりがあったかどうか。

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