ノルウェーの新聞に載った頭山翁

 『新聞の今昔 激動する新聞戦国史』は河合勇著、新日本新聞社発行、錦正社発売、昭和47年12月。河合は明治32年生まれ、大正12年4月早大英文科卒、東京朝日新聞入社。戦後は日刊スポーツや新日本新聞で働く。

 新聞の起源から説き起こし、大小さまざまの新聞を紹介。終はりに自身の回顧録「新聞生活五十年」を付ける。数が多いので仕方がないが、一つ一つの新聞については短く触れる程度。

 中では自身が在籍し、この本の発行所でもある新日本新聞社については、他ではあまり見ない。同社は昭和21年、小寺謙吉を初代社長としてスタート。

戦争直後の大新聞の多くは、従業員組合の幹部は共産党系の左翼分子に握られ、社説から記事に到るまで全体が左翼支持となって各会社のストライキ騒ぎを煽動する傾向さえ見えて来た。この風潮は放って置けない。 

 そこで関西の財界人らが結集して「日本の良風を守る新聞」を興した。杉道助、古田俊之助、伊藤竹之助、津田信吾、小寺、加藤正人、菊地文吾、大原総一郎、松下幸之助大屋晋三の名前を挙げてゐる。2代目社長は福岡の香月保といひ、著者と親しかった。河合は同紙に毎号社説と読み物を書いてゐる。

 河合は朝日では運動部としてベルリンオリンピックに特派される、二・二六事件の報はノルウェーで受けた。

 

 翌日ノルウェーの新聞を見ると、頭山満の写真が大きく出ていて、日本は右翼の天下になったように報じている。また臨時首相に後藤がなったとして、あご髯をつけ、鼻めがねをかけた既に死んでいる後藤新平伯の写真が出ているのでノルウェーの記者に「これはちがっているよ。後藤文夫だよ」と教えてやった。

 

ノルウェーにも知れ渡ってゐた頭山翁。

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・1888年が2回でてくる。

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