真壁宗雄「要は日本を再建したいことだけだ」

 続き。『日本人ここにあり』には、写真は著者近影しかなかった。『別冊 実話特報』双葉社、昭和37年7月号(6巻7号)では「当代怪物列伝 人間タンク再び始動す!」で真壁宗雄を6頁にわたって取り上げる。動きのある真壁宗雄の写真が沢山掲載されてゐる。
 真壁宗雄が写ってゐるのは8枚。座って手紙を書いてゐる真壁宗雄。机上の封書をよくみると、奥のものは「西尾末廣」と読める。手前のものは「迫水○常」。これは迫水久常だらう。笹川良一宛てもある。隣は自転車に乗る真壁宗雄。近所の安岡正篤の家と往来してゐたらしいので、この自転車で通ったのかもしれない。
 門前で手紙を読む真壁宗雄。表札が三つある。「新生活文化協会」「日本小鳥協会」「親米建国党連絡所」。小鳥の世話をする真壁宗雄。鉢植えを眺める真壁宗雄。左手に受話器、右手に鉛筆を持つ真壁宗雄。麦藁帽を被って歩く真壁宗雄。両手に親米建国党の提灯を持つ真壁宗雄。
 記事は阪谷男爵を坂谷男爵、座禅会を座談会と取り違へてゐるのが惜しいが、真壁宗雄の語録がとても面白い。

共産党という名前は実にいい名前だな。共に生する。お前たちは日本のためには何も産しない。ソ連の飼犬になっているばかりだ。どうだ? おれに共産という名前をくれ。共産党党首はおれだよ」

「おれのいう親米は一時の便宜手段だ。アメリカが日本の再建を援助してくれるなら親米になろう。だがソ連の方が物資をくれてて力を貸してくれるならすぐ親ソ建国党になるぞ。要は日本を再建したいことだけだ」